![]() |
| 巣穴を掘るペンギンがいる。あるいは、洞窟や岩穴に巣をつくるペンギンもいる。「変なの!?」と思われるかもしれないが、意外に多い。 |
ペンギンは、南極の雪原や氷の上で生活しているもの。そういうイメージが強い。
たしかに、南極のエンペラーペンギンは、パックアイス(分厚い海の氷)の上で子育てする。また、アデリーペンギンも、南極大陸の沿岸、いわゆる「露岩地帯(南極の夏に雪がとけて石や岩がむき出しになるところ)」で繁殖する。 エンペラーは、卵や小さなヒナを両足の上にのせ、その上からダブついたお腹の皮を被せて温める。だから、「巣」はつくらない。亜南極(南極の周辺)にすむキングペンギンも、「巣」をつくらないことは、よく知られるようになった。 一方、アデリーは、露岩地帯の小石を集めて、クレーターのような形の「石の巣」をつくる。なぜ、かたい石を使うのか?それは、卵やヒナを「雪融け水から守る」ため。石だと、排水がよいので、卵やヒナが冷たい水につからなくてすむから。アデリーのなかまのヒゲペンギンやジェンツーペンギン(どちらも主な繁殖地は亜南極)も、同じような巣をつくる。 |
ほかにも、マカロニペンギン、イワトビペンギン、ロイヤルペンギン、シュレーターペンギンも、様々な巣材をつかって巣をつくる。つまり、18種類いるペンギンの約半分は「巣をつくらない」か「地面に巣をつくる」派である。
しかし、残りの半分は「巣穴」派なのだ。「巣穴とペンギンって、なんとなくイメージが合わない!」そう感じる方も少なくないだろう。 でも、近くの動物園や水族館で確かめてほしい。フンボルトペンギンやマゼランペンギン、ケープペンギンの展示場には、必ず「巣穴」があるはずだ。それは、「岩にあいた穴」だったり、「犬小屋」のようだったりといろいろだか、とにかく、このペンギンたちは、「なにも覆いのない地面に巣をつくって子育て」をすることはしない。 さあ、なぜでしょう? ほかにも、ガラパゴスペンギン、コガタペンギンのなかま、スネアーズペンギン、シュレーターペンギン、キガシラペンギンたちは、地中に穴を掘ったり、岩の割れ目、倒木の下、草むらの下に巣をつくる。 これらのペンギンたちがくらす地域は、日差しが強く(つまり暑く)、天敵が多く、そして雨が多い。これらから、大切な卵やヒナを守るためには、穴を利用するのが一番。そういうわけなのだ。 「穴掘りペンギン」たち、頭つかってますねえ!! |
|
| ◇プロフィール | |
![]() |
上田一生(うえだ かずおき)
1954(昭和29)年、東京都出身 國學院大學文学部史学科卒業 現職:目黒学院高等学校教諭(教科担当:地歴公民科) ペンギン会議創設メンバーであり、今なお研究員として幅広い活動を行っている。 主な著書に 『ペンギンコレクション』平凡社、1998年 『ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ』岩波書店、2007年 など |