
パダンから車で2時間ほど移動したブキッティンギという街に、スマトラ島唯一の動物園があります。…といっても、正確には唯一ではなく、他にもあるそうなのですが、整備された総合動物園は島でここだけとのこと。1929年にオランダ人の獣医やジャーナリストが共同で設立したという歴史ある動物園です。
ここではスマトラ島やインドネシアのどうぶつたちがたくさん飼育されています。
菩提樹の下に佇むサンバー。スマトラ島をはじめ東南アジアにすむシカのなかまで、水辺を好むことから「水鹿(スイロク)」とも呼ばれます。
シロガシラトビ。スマトラ島をはじめ東南アジアに生息しています。
マレーグマ。食後にぼんやり休憩中。
ビントロングです。長い尾は、木に巻きつけてバランスをとるのに役立ちます。
スマトラオランウータンのオス「バンバン」。穏和そうな立派なオスです。
スマトラゾウ。日本から取材ということで特別に、スマトラゾウの背中に乗って園内を周らせてもらいました。ゾウの背中に乗って、動物園を周れるなんて! 普段はマイペースなシカやラクダなどのどうぶつたちがじっとゾウに乗った私たちを見上げていて、やっぱりゾウは他のどうぶつたちにとっても特別な存在なんだなー、と実感しました。
ちなみに後ろに見えている建物は、ミナンカバウ文化を伝える博物館です。尖った屋根は水牛のツノを表していて、水牛が街の名前の由来にもなっています。
ブキッティンギのガイドさんに、こんな伝説を聞きました。昔、この街が侵略されそうになったとき、無為な戦争を避けるために闘牛で決着をつけることになりました。敵は立派なオスの水牛を用意したのですが、ミナンカバウの人々が用意したのは生まれたばかりの仔牛。うまれてから一度もお乳を飲まさず、餓えさせた仔牛に、ツノの代わりにナイフをつけて戦わせたのです。そして何が起こったかというと、敵のオス水牛は赤ちゃん水牛を相手にせず、じっと立ったまま。赤ちゃん水牛はミルクがほしくてオス水牛のお腹の下をまさぐり、頭のナイフでオス水牛を刺し殺してしまったのでした。
女系社会で賢明といわれるミナンカバウの人々らしいお話です。
さて、動物園に話を戻します。こちらは、園内をつなぐ橋の入り口。橋の向こうでは鳥類などがたくさん飼育されています。
橋の上から見たブキッティンギの街。
マレーバク。スマトラ島にも生息している絶滅危惧種です。
クジャクが羽を広げていました。
スマトラのどうぶつではありませんが、若々しくて元気に歩き回っていたラクダ。
園長のTarmizi Saidさん。今年、園長に就任したばかりですが、「今後、スマトラトラをはじめスマトラ島のどうぶつたちをもっとたくさん飼育して、スマトラのどうぶつの魅力を伝える拠点となりたい」と熱く抱負を語ってくださいました。園内に古い遊園地があるのですが、「どうぶつたちのストレスにもなるし、撤去したい」とのこと。よりよい動物園を作るため、いろいろと計画中のようです。