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Vol.13 消防ホースを使った新しいアイデア

2017.4.14

消防ホースを使った新しいアイデア
2007年の2月頃から、私は運動具に使用していた麻ロープを消防ホースに切り替えていきました。それは消防ホースの平べったいあの形が、ぐりぐりと“ひねる”ことでひも状のロープと同じように使えることがわかったからです。

消防ホースがひも状になる様子

消防ホースには、麻ロープにはない利点がいくつもあります。
①ものすごく丈夫
②加工が楽(包丁で簡単に切れる)
③取付けが簡単(小さいボルトでとめるだけで、怪力のイーバンでも外せない)
④軽い
⑤温度や湿度で伸び縮みしない
⑥廃棄するものを無償で頂くことが出来る、等々

そういう利点を知りながらも、自分としてはどうも使う気にならなかったいくつかの理由もあります。それは…
①見た目が良くない(個人的印象)
②横に張るロープの代わりに使っても利用度が低い(個人的印象)

あくまでも自分自身の中でですが、ひねってひも状にすることでこの欠点がカバーできたように思いました。ちょうど昼休み時に、はっ!と思いついて消防ホースの片方を街灯のポールに縛ってぐるぐるとひねってみました。すると、きれいなひも状になることを発見したわけです(上の写真)が、正直体に電気が走るくらいの衝撃だったのを今でも覚えています。

思い込みが激しい性格なのかもしれませんね。なんか、とんでもないことを思いついたと勝手にそう思ってしまったんです。

「日本のオランウータン界に貢献できるんじゃないか?これはぁぁ!」と。

それで、すぐにオランウータン舎にホースを付けまくりました。麻ロープに比べたら、かなり簡単にできちゃうからです。

ホース全景

動物園の広報係の方がホームページに載せようか、とその当時言ってくれたのですが、自分は逆にしばらく内緒にしてほしいと頼みました。

ちゃんと、分析をして要点をまとめて、利用度も確かめてからその年のSAGAにポスターで発表しようと思ったからです。発表した内容は市川市動植物園公式ホームページ内の飼育研究レポートというページに載せてありますので、詳細に関してはこちらをご覧ください。http://www.city.ichikawa.lg.jp/zoo/0328.html

※余談ですが、この頃ほとんどのお客さんはロープが消防ホースだとは気が付かないようでした。「これ消防ホースなんですよ」と教えるとビックリする人が多かったです(今はそうでもないです)。形状的に気が付かないこともありますが、やっぱりお客さんはあくまでもオランウータンを見てくれていたんですね。イーバンも、当時3歳のウータンと母親のスーミーもそれぞれ新しい消防ホースのロープが新鮮だったのか、本当に良く遊んでいました。年齢的なものもあったように思います。

利用している所(スーミー)

豪快に使うイーバン

   

いろいろとそういった経緯がありまして、実際今では多くの動物園のオランウータン舎等でこのアイデアが利用されているようです。ひとつは動物園ライターとして活躍されている森由民さんが、いろいろと紹介してくださって広まった所があります。この場を借りて改めて感謝申し上げます。

水品巻き
「面白いね、うちでもやってみるよ」と、初めて試してくださったのが千葉市動物公園の伊藤泰志さんです。ゴリラのモモタロウ君の部屋で実験してくれまして、ゴリラにも使えるよ、と教えてくれました。その時に伊藤さんが冗談で「水品巻き」と呼んでくれまして、気がついたら業界内でそう呼ばれるようになっております。

また、当時多摩動物園でオランウータンを担当されていた黒鳥英俊さんに至っては、国際オランウータン会議とかいう会議(IN アメリカ)に出席してスライドを使いながら紹介してくださいました。「This is ミズシナロール」って言ったら外人が「オーウ」って言ってたよ、って。

「ミズシナ知らないでしょうよ」みたいな感じですが、とにかく多くの皆さまに感謝しております。

こういうことがきっかけで2008年には、なぜか黒鳥さんとボルネオのャングルへ行って野生オランウータンのために消防ホースで橋を架けることに。

スイマセン、この話はまた次回。

著者プロフィール

水品繁和(みずしな・しげかず)

プロフィール
1967年東京都生まれ
東京農業大学卒
1990年より市川市動植物園勤務
1992年オランウータン来園、担当者となり現在に至る

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