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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.4 アザラシは哲学者

2014.6.7

魚をもらうために前脚を振ってアピールするゼニガタアザラシ (飼育員は何も教えていません)

おたる水族館には自然の海をそのまま仕切ったアザラシのプールがあります。
ここには20頭程のアザラシがいて、お客さんは餌の魚を買い、自由にアザラシ達に与える事ができます。

アザラシ達も、より多くの魚をもらおうとお客さんの気を引くために、あの手この手で工夫をします。

大好物のホッケをめがけて豪快にジャンプ!

アザラシ達は「こうすれば魚がもらえた!」という事をしっかりと覚えていて、
経験を重ねるに従い、それぞれが自分たちに合った作戦をあみだしていきます。

「鳴き声を出して目立とう 作戦」「バイバイをして注意を引こう 作戦」「遠くへ離れて哀愁を漂わせてみよう 作戦」「高くジャンプし、力づくで奪い取るのだ 作戦」「人気者の近くにいて、おこぼれを狙っちゃおう 作戦」「チラッと上目づかいすればチョロイものよ 作戦」などなど・・・

柵をよじ登って独占する作戦 

しまいには、柵の近くにまでよじ登るなど、スタッフが考えもつかない行動で魚をもらおうとするアザラシもでてきます。
まさか、アザラシがそんなに物事を考えているなんて・・・。私も入社した当初はそう思っていました。しかし、実際にその光景を目の当たりにしてからはアザラシといえど、私たちヒトと同じ哺乳類。彼らも日々、生き抜いていくために色々な事を考えているのだと気づかされました。

人間も1人1人が、これが良い、こうするべきだ、という「哲学」を持っている様に、アザラシも1頭1頭がそれぞれの「哲学」を持っているように思えてなりません。

水面をパシャパシャさせる 作戦

お客さんに大接近 作戦

振り向き上目づかい作戦


「力づくで奪い取るのだ 作戦」が見事にはまった瞬間

著者プロフィール

神前和人(こうざき・かずと)

1984年兵庫県伊丹市生まれ
北海道東海大学工学部海洋環境学科卒業
2007年より「おたる水族館」勤務 
現在はトド・アザラシ・セイウチなどの海獣類を担当。学芸員。
特技の写真撮影を活かし飼育員ならではの目線で生き物の魅力を発信している。
著書に「おたる水族館のいきものたち」「かいじゅうさん、ハイ」(写真担当)がある。
好物は麦チョコ。

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