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Vol.3 サメ肌の正体

2011.8.8

「サメ肌」という言葉があります。ザラザラしたものを表現する言葉として、皆さんご存知だと思います。ところで、サメ肌とは一体どのようなものなのでしょうか?
サメ肌の正体は、サメやエイの表皮に存在する楯鱗(じゅんりん)という小さな鱗が密生しているものです。サメ肌の基となる楯鱗ですが、サメやエイの種によって形状や大きさが異なります。サメの中で最も一般的に見られる形状は、まさに“楯(たて)”の形をしたものです。

ヘラザメ属の1種の楯鱗(走査型電子顕微鏡写真).

写真の楯鱗は、右が頭部、左側が尾部方向になります。前方は楕円形、後方が3尖頭形のまさに“楯”の形状をしているのが分かります。このような微細な構造が全身に密生していることにより、サメ肌のような感触になるのです。特に、写真の左から右方向に触ると、手に引っかかるような感触になります。
 楯鱗は、尖ったものや敷石状のものなど、種によって形態も様々です。サメ革のワサビおろしとして知られるものは、多くがカスザメやオトメエイという仲間の皮を利用しています。これらの楯鱗はゴロゴロとしたコブ状で、古くから日本刀の柄や装飾品などに利用されてきました。

カスザメのサメ肌を加工したワサビおろし

ワサビおろしに利用できるオグロオトメエイの楯鱗

深海のエイの一種、ウスエイの鋭く尖った楯鱗(走査電子顕微鏡写真)

サメやエイの楯鱗は種によって様々ですので、観察すると非常に面白いものです。研究テーマとしても興味深く、機能形態学や流体力学などの分野で研究が進むことが期待されます。

著者プロフィール

佐藤圭一(さとう・けいいち)

1971年 千葉県生まれ(高校まで栃木県で育つ) 
2000年 北海道大学大学院水産学研究科 博士後期課程修了・博士(水産学)
同年 (社)沖縄海洋生物飼育技術センター(旧国営沖縄記念公園水族館)
現在 沖縄美ら海水族館 魚類課 深海系係長(主に深海性魚類の飼育・開発を担
当)
専門は深海性サメ類の比較形態学・系統分類学、現在はサメやエイ類の繁殖や生態に
関する調査も行っている。
著書 水族館の仕事(東海大学出版会・分担執筆)など

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