4月13日にスタートした大阪・関西万博。8月7日現在、開幕からの一般来場者の累計は約1311万人。関係者を含めた総来場者数の累計は約1520万人となりました。1日あたりの来場者数が最も多かったのは、夜に花火が打ち上げられた6月28日で、一般来場者数が18万4990人、関係者を含めた総来場者数は20万2819人と発表されています。
残り100日をも切った猛暑の中、事業としての損益分岐点となる2200万人の来場者数まで、文字通りの「駆け込み需要」で切り抜けられる目算がついてきたという噂もチラホラ聞かれるようになってきましたね。
こうした万博にまつわる、イベントとしての是非、自治体が運営することの是非、イベント終了後の展開プランの是非、など、たくさん のことが開幕前も、開幕後も議論されてきましたが今日はそんなことは抜きに、純粋に各国パビリオンや会場の魅力にフォーカスしたいところ。
開催国日本のパビリオンは言うまでもなく素晴らしく、ドラえもんやキティちゃんがガイド役を見事に果たす中、会場内の至るところにあるポケモンのオブジェ、そしてパビリオンとの連携でガンダムやアトムなど、大御所のキャラクターたちが大集合。万博の公式キャラクターであるミャクミャクもここへきて「ミャクラー」などという俄かファンまで掘り起こしてしまう始末。
負けずにオランダ館ではミッフィーが、北欧からはムーミンが、と続々参戦しているようで、グッズは軒並み完売状態だとか。このためだけに自国パビリオンのキャラクターを開発した国も多いようで、気になる方は是非細かくチェックされてみてはいかがでしょう。
そんな中、個人的に非常にクオリティの高いパビリオンを作っているなと感じたのがクウェート。クウェートは、中東の国々の中でも、特に日本と親しく国交も深いことで知られています。その歴史は、1958年にクウェート首長が、日本のアラビア石油に石油採掘権を認めたことから始まります。 1961年にクウェート国が独立を果たした際には、日本はいち早くその独立を承認し両国は外交関係を樹立しました。
2011年の東日本大震災では、被災した福島の水族館アクアマリンふくしまへ300万ドルの寄付をしたばかりか、原油500万バレルを含む150億円を超えた救援をいただいたことは記憶に新しく、日本は感謝と信頼を深めてきました。こうした相互支援の歴史は、単なる経済関係を超えた友情を築いています。
大阪・関西万博のクウェートパビリオンは、「先見の明かり(Visionary Lighthouse)」をテーマに、翼のように広がる外観と幻想的 な真珠ドームが来場者を迎えます。砂漠と海の物語、未来への希望を、光・映像・インタラクティブ展示で体感できる空間です。
多くの来館者を迎えるエントランスではクウェート名産の真珠を模したドームが砂漠の星空を思わせる光と映像で幻想的な空間を演出。来館者は歴史、現代、未来へと繋がるクウェートの物語に浸ることができます。
さらに、導入シアターに登場するキャラクターたち(クウェートの少女、フラミンゴ、ロボット)が親しみやすい語りで文化を紹介。また、砂漠の動物が動き回るミニチュアや、体験型のアクティビティも館内で複数楽しめる構成になっており子供から大人まで、広く楽しみながらクウェート現地のことを多角的に学ぶことができるのです。
筆者のお気に入りポイントは「オアシス」です。館内にひときわ静かで落ち着いた空間に、クウェート現地の固有植物も配されているあたり、本当にアラビア半島で体験するオアシスを思わせます。屋外の猛暑や混雑をほんのひととき忘れさせてくれる場所は、ここを差し置いて会場内に他に見当たらないと言っても過言ではありません。
そして、クウェートが国際的に取り組んできた協力関係の構築、または国内の国民に対しおこなってきたウェルビーイングへのチャレンジなどを伝えるエリアを経て、パビリオンは最大のハイライトへと向かいます。ネタバレになってしまいますので、詳細は省くとしても、来館者が願いを星に投影するドーム内の演出など、インタラクティブな展示が豊富で五感が刺激される体験はもはやそれだけでお金をとれるほど!パビリオンそのものの建築デザインは持続可能性にも配慮され、自然光の活用や再生可能エネルギーの採用、さらには展示後の資材リサイクルまで計画されており、環境意識も高い評価を受けています。ただ美しい建築というだけにとどまらず、このパビリオンそのものが文化・技術・サステナビリティを一体化させた未来へのメッセージなのです。
パビリオンそのものの建築デザインは持続可能性にも配慮され、自然光の活用や再生可能エネルギーの採用、さらには展示後の資材リサイクルまで計画されており、環境意識も高い評価を受けています。ただ美しい建築というだけにとどまらず、このパビリオンそのものが文化・技術・サステナビリティを一体化させた未来へのメッセージなのです。その先進性と親しみやすさが、多くの人々の心に深く届くことでしょう。そして同時に日本とクウェート、両国の絆を未来世代に伝える場でもあります。美しさと温かさ、その両方を併せ持つこのパビリオンは、日本とクウェートの“これまで”と“これから”を結ぶ灯台のような存在に他なりません。




