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アフリカで最も危険な動物、カバ

2011.12.20

アフリカで最も危険な動物、それはライオンでもヒョウでもゾウでもない。それはカバである。意外に聞こえるかもしれないが、野生動物の絡む事故で最も多くの人を殺しているのがカバなのだ。 カバは気性が非常に荒く、縄張り意識が強い。仲間同士でも頻繁に喧嘩をするし、近くに他の動物たちがいる事を決して好まない(ワニだけは例外のようだが)。

カバは人間の生活河川にも多く生息している。ボツワナ、カバンゴ河

しかし、人がライオンよりもカバに多く襲われるのには次のような理由もある。
ライオンは食物連鎖ピラミッドの頂点に立つ動物であるために、全体数がとても少ない。しかも、国立公園や動物保護区の外ではほとんど駆逐されてしまっている。タンザニア南部などでは時折人食いライオンが出没するが、それとても全体から見ればごく稀な事例に過ぎない。

雨季の日差しが弱い時期には日中でも陸に上がってくるカバ。ナミビア、マミリ国立公園

ところがカバは個体数がもの凄く多い。保護区ではなくても、大型河川と適度な草場がある場所には大抵生息している。大きな川の周辺には、当然人も住んでいる。水汲みや洗濯もするし、魚も捕る。道路整備の進んでいない地域では、カヌーやボートは大変重要な交通手段でもある。当然人とカバとが遭遇する確率が高くなるわけだ。

カバのあくびは眠いわけではなく、威嚇行動の一つだ。ナミビア、マミリ国立公園

人がワニに襲われる事例が多いのも全く同じ理由だ。ただ、ワニの事故は水上、或いは水辺に限定される。ところがカバは夜な夜な草を食べに陸に上がってくるため、水上、陸上の両方で事故が起きる。陸にいるカバは水中にいる時に比べてナーバスになっている。そんな時、水とカバとの間に人が立つと、カバは退路を遮断されたと思い攻撃してくる。早朝、陸上で人がカバに襲われるケースが多いのはそのためだ。さらに厄介なことに、一見鈍重そうに見えるカバは、その実、陸上での動きも非常に機敏で、かなりの速度で走る。口も巨大で、鋭い牙を何本も持つ。あんな口で咬まれれば、人間などひとたまりも無いのだ

著者プロフィール

山形豪(やまがた・ごう)

1974年群馬県高崎市生まれ。少年時代を中米のグアテマラや西アフリカのブルキナファソ、トーゴといった 国々で過ごす。
1993年国際基督教大学高校を卒業。同年東アフリカのタンザニアへ渡り、現地の インターナショナルスクールでIB(インターナショナル・バカロレア)を 履修する傍ら自然写真を撮り始め、現在もアフリカを中心に野生動物や風景の撮影を続けながら、、写真サファリのガイドとしても活動中。

日本自然科学写真協会(SSP)会員

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