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Vol.4 ゴリラは一日に何回うんちをするか

2011.3.20

人間と比べて、ゴリラがうんちをする回数は多いのか、それとも少ないのか。体の大きさや食べ物を考えると、いったいどうなんだろうと首をかしげます。野生のマウンテンゴリラのオスは体重が約200キログラムで、1日にだいたい30キログラムの草や葉を食べます。そして、1日に5〜6回のうんちをします。人間よりずっとたくさんの量を、何回にも分けてするのです。また、マウンテンゴリラは毎晩ベッドを作って眠りますが、うんちはベッドの中にします。うんちをした上に寝ることも多いのです。マウンテンゴリラは硬い茎、根、樹皮を食べることが多いので、うんちは硬くぱさぱさしています。夜は冷えるので、うんちはカイロのような役目を果たしているのかもしれません。

最近、アフリカの低地に住むニシローランドゴリラの調査が進み、だいたい同じような回数でうんちをしていることがわかりました。おとなのオスで1日に平均6回、子どもで1日に約4回うんちをします。でもマウンテンゴリラと違って、ニシローランドゴリラは必ずベッドの外にうんちをします。低地熱帯雨林で暮らすゴリラは毎日たくさんの果実を食べます。そのためうんちはやわらかく、少しべたついています。夜は暖かくて、カイロの必要はありません。そのため、ニシローランドゴリラはうんちを外にするのでしょう。

でも、なぜゴリラはこんなに頻繁にうんちをするのでしょうか。それは、ゴリラが熱帯雨林で植物と手を取り合って進化してきたからです。動けない植物は動物の力を借りて子孫を増やそうとします。種子を動物に飲み込んでもらって、発芽条件のいいところにばらまいてもらうのです。甘くておいしい果肉はその働きに植物が動物に与えるプレゼントなのです。だから、ゴリラはたくさんの果実を食べ、その種子を飲み込んで、広く森を歩き回り、あちこちでうんちをするような性質を身につけたのです。あまり果実のない山の上に住んでいるマウンテンゴリラも、こういったゴリラに共通な性質をもっているのでしょう。

実は、人間もゴリラと同じように何度もうんちをする性質をもっています。赤いりんごや黒いぶどうを見ておいしそうに思うのは、種子をばらまく役割をしてきたことを物語っています。ゴリラに比べてうんちの回数が少ないのは、果実以外のものを食べるようになったからでしょう。ゴリラと違って、人間は熱帯雨林以外のところに暮らしているからです。でも人間の子どもはまだゴリラのような体をもって生まれてきます。だから、ところかまわずうんちをするようにできていて、いつまでもおしめが取れないのです。

 

著者プロフィール

山極寿一(やまぎわ・じゅいち)

1952年東京生まれ。
京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。
カリソケ研究センター客員研究員、(財)日本モンキーセンター・リサーチフェロー、京都大学霊長類研究所助手を経て現職。
1978年からアフリカ各地でゴリラの野外研究を行っている。
著書に『ゴリラ図鑑』(文渓堂)、『ゴリラ』(東京大学出版会)など。

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