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Vol.5 ~番外編~ カワネズミ

2017.2.5

和名:カワネズミ
学名:Chimarrogale platycephala

今までどうぶつのくにで虫というミクロの世界をご紹介してきましたが、ここで1回休憩して、昨年の12月より展示を開始したカワネズミについてご紹介いたします。

カワネズミ

 カワネズミは、名前にネズミとつきますが実はモグラの仲間です。日本固有種で、本州や九州地方の山間を流れる渓流に生息しています。
 高密度で撥水性の高い毛皮を持ち、水中に潜った時に毛の間に空気の層をつくり、銀色に輝いて見える事から別名「銀ネズミ」とも呼ばれています。
 どうぶつの国の読者はよく御存じの生き物ですが、自然界ではその姿を見ることが難しく、その名も知らない方が多いようです。しかし渓流釣りをする方々には意外と知られている生物かもしれません。
 渓流で自然に身を置き、ヤマメやイワナを毛バリで誘うと、まれにカワネズミが毛バリを餌と間違い追ってくることがあるそうです。当館の職員も昔、沢をのぼってイワナ釣りに向かう途中や調査中に、足元に銀ネズミが泳ぎ去っていく姿を何度も見たことがあるそうです。

カワネズミの暮らす渓流に設置した罠

 福島県内でのカワネズミの現状はあまり知られておりませんが、当館では昨年の春より福島県鳥獣捕獲許可を得て、水族館周辺での調査を中心に開始しました。2016年の調査では、水族館周辺11河川で計18個体を確認することができました。予想以上に多くの個体を確認することができました。

カワネズミのため糞(赤丸内)

 また生息地ではカワネズミの「ため糞」も確認することができました。間違いなくいることが分かると実際に自然界で動き回るカワネズミを見たくもなります。いずれは生息地での行動を観察してみたいと思います。

水中を泳ぐカワネズミ

サワガニを食べるカワネズミ

 水中を巧みに泳ぐカワネズミは、餌となる小さな水生昆虫やサワガニ、イワナなどを捕まえて食べています。眼は小さく、光を感じる程度にしか発達していないと考えられていて、鼻や鼻の周りに生えている長いヒゲ、眼の後ろにある耳を使って餌となる獲物を探していると考えられています。飼育下でサワガニを食べる様子を観察していると、最初にお腹の部分から食べようとしました。すると当然サワガニの反撃をうけます。鼻先を挟まれ、一瞬動きが止まると、やっぱり痛いのでしょう。転げまわっていました。その様子を見ながら、はさみを先に処理したらいいのにと考えるのは人間だからなのでしょうか。
 非常に大食漢で、一日に体重の半分近くの餌を食べて生活しています。そのため、常に餌となる多くの生き物が住んでいる環境でしか暮らすことができません。

毛づくろい(グルーミング)中のカワネズミ

とにかく動きの速いカワネズミですが、観察をしているとよく毛づくろいをしているのを見かけます。水辺で生活をするカワネズミは、長時間水に浸かっていると撥水性が落ち、体温が奪われてしまい最悪の場合死に至ります。そのため一生懸命毛づくろいをし、毛の間に空気を詰め込みます。この空気の層ができると水中を泳いでいるときに皮膚が直接、水が触れにくくなり体温を奪われるのを防ぐことができます。

巣穴で寝ていることが多いカワネズミですが、じっくりと観察をしていると巣穴を抜け出し活発に動く様子からカワネズミの様々な生態を知ることができます。今後は繁殖にも試みたいと思います。

著者プロフィール

平澤 桂 (ひらさわ・けい)

1976年東京都出身
1999年11月アクアマリンふくしま入社
2015年4月アクアマリンいなわしろカワセミ水族館異動
同館のリニューアルオープンの立ち上げに携わる。

淡水生物全般を担当。
現在は福島県内の水生昆虫を中心としたフィールド調査をライフワークとしてます。水辺の生き物を通して、多くの来館者に身近な生き物、自然環境について考えるきっかけになるような展示を作り続けていきたいです。

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