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相模湾のいきもの Part 5

2014.2.21

メンダコ(面蛸) Opishoteuthis depressa

 

 

 タコはタコでも画像の通り、お馴染みのマダコとはかなり容姿が異なります。有名なクマノミの映画に出てきたパールというキャラクターのような。しかし、真っ暗な深海では出しても仕方がないのか、墨は吐きません。

 

マダコ

 

 1886年三浦半島の西南端に、相模湾の海産動物研究史上欠く事ができない東京大学の三崎臨海実験所が設立されました。周辺海域からさまざまな動物が発見され、「相模湾」や「三崎」といった海域・地名が世界に知れ渡ることになりました。その中の一つ、1895年に新種として発表されたのがこのメンダコです。三浦半島の南にある沖の瀬周辺から採集されたものが報告に用いられました。その後、これまた相模湾の研究には欠かせないフランツ・ドフラインも本種を採集し、著書の東亜紀行の中で、深海の中位層にすむ体が柔らかいゲル状の頭足動物として紹介しています。

 

 

 このようにかなり前から知られているメンダコですが、深海にすんでいることもあり生態など不明なことが多く、飼育方法についてはまさに手探りの状況です。当館では冬季に駿河湾での入手を試みています。昨冬入手した個体は当館では最長の22 日間生存し、解凍したオキアミやサクラエビを食べる様子を初めて観察することができました。摂餌生態については、海底近くを移動しながら触毛で餌生物を探索するなどの行動が推測されていましたが、飼育下での観察記録から、海底で周囲に生息している餌生物を捕えて摂餌するマダコなど、他の八腕形目と似た摂餌生態をもっていることが示唆されました。 このようにフィールドではなかなか難しいけれど、水族館で飼育したからこそ得られる情報があります。チャンスは多くありませんが、さらに長く飼育ができるよう努力し、新たに得られる知見を発信していきたいと思います。

著者プロフィール

崎山・直夫(さきやま ただお)

1968年東京都生まれ。1994年鹿児島大学大学院水産学研究科修了(水産学修士)後、株式会社江ノ島水族館 (現・株式会社江ノ島マリンコーポレーション) に入社。旧江の島水族館の2号館マリンランド(鯨類)、3号館海の動物園(鰭脚類ほか)、1号館水族館(魚類ほか)勤務を経て、2004年より新江ノ島水族館・魚類チーム(魚類ほか)に勤務。

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