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相模湾のいきもの Part 6

2014.3.17

サクラダイ(桜鯛)Sacura margaritacea

 

 

 日本人好みの和名に、美しい体色、すらっと伸びるヒレ、エメラルドグリーンに輝く眼、そして、学名にもサクラと入っているという、この季節に紹介するのにもってこいの魚です。本種は1879年にドイツのヒルゲンドルフによって相模湾で得られた標本をもとに記載されました。相模湾研究、日本産魚類分類学の中でもかなり早い時期になります。

 

 

 雌性先熟(メスからオスになる)の性転換をする魚として知られています。体側に模様がなく背ビレに黒斑があるのがメス、体側に白色斑が入っているのがオスです。3枚目の画像の個体は角度によっては斑紋おぼしきものが見えるので、性転換が始まる個体かもしれません。これだけオスメスで色が異なると、知らなければ違う種類の魚と思ってしまいそうです。

 

 

 本種の和名や学名について掘り下げた文章をいつか読んだことがあります。ヒルゲンドルフは本種をAnthias margaritaceaとして記載しました。その後の研究で、現在のSacura margaritaceaとなっています。属名のSacura はやはり「桜」。和名のサクラダイを尊重してつけられたようです。種小名の margaritaceaは「真珠のような」、「真珠光沢のある」といった意味。我々日本人としてはオスの体側の模様は、はかない桜の花びらととらえたいところですが、ヒルゲンドルフは種小名にあるように赤い体に光る真珠ととらえたのでしょうか。

マダイ

 一方、桜の咲く頃に採れるマダイのことを「桜鯛」と呼びます。産卵を控えて脂がのり、美味ということです。なんとも紛らわしい。ちなみに本家のサクラダイがお店に並ぶことはまずないでしょう。

著者プロフィール

崎山・直夫(さきやま ただお)

1968年東京都生まれ。1994年鹿児島大学大学院水産学研究科修了(水産学修士)後、株式会社江ノ島水族館 (現・株式会社江ノ島マリンコーポレーション) に入社。旧江の島水族館の2号館マリンランド(鯨類)、3号館海の動物園(鰭脚類ほか)、1号館水族館(魚類ほか)勤務を経て、2004年より新江ノ島水族館・魚類チーム(魚類ほか)に勤務。

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