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Vol.8 オオカバマダラ

2017.2.4

 オオカバマダラは初夏から秋にかけて北アメリカに広く分布し、アメリカではモナーク(皇帝)と呼ばれる有名なチョウだ。

越冬地では昼間気温が上がるとたくさんのオオカバマダラが飛ぶ

越冬地では昼間気温が上がるとたくさんのオオカバマダラが飛ぶ

 メキシコの標高3000mを超える山岳地帯に、冬になると何千万匹ものオオカバマダラとが集まる場所がある。夏にはカナダまで分布し、夏の間、北の涼しい地域にふんだんに生育する幼虫の食草のトウワタをを食べて数を増やす。けれど、成虫にも幼虫にも低温にたいする備えがなく、冬季の気温が低すぎる北アメリカ北部では冬を越すことはできない。夏の終わりに成虫になったチョウは南に向かって移動し、行き着く先が冬でも氷点下に下がることがないメキシコの山岳地帯だ。
 3月中旬を過ぎると越冬地のチョウの数はだんだん減っていく。再び北へ移動をはじめたのだ。越冬地を離れたチョウの子どもはカナダにまで分布を拡げることになる。寒さが近づくころ、オオカバマダラは再び南をめざして飛び立つ。

越冬地では気温が下がる夕方から翌朝10時頃まではチョウが木々を埋め尽くすようにとまる

越冬地では気温が下がる夕方から翌朝10時頃まではチョウが木々を埋め尽くすようにとまる

 初めて越冬地を訪れたのはもう35年ほども前のことだ。それ以来何回も越冬地の山に行ったが、その場所は昔も今も変わらない。越冬地の木が切られてしまったら、オオカバマダラは戻る場所をなくなってしまう。今は越冬地は保護されて、たくさんの観光客で賑わっている。

著者プロフィール

海野和男 (うんの・かずお)

1947年、東京生まれ。子どもの頃から昆虫が大好きで、東京農工大学で昆虫行動学などを学び、卒業後は昆虫の撮影にうちこむ。アトリエのある長野県や世界各地で撮影を続ける。ホームページ「小諸日記」では、1999年より写真にコメントを付け、17年間毎日更新している。児童書や写真集など昆虫関係の著作が多い。写真集、「昆虫の擬態」(平凡社)で1994年日本写真協会賞受賞。世界のカマキリ観察図鑑(草思社)カブトムシの百科(データハウス)蛾蝶記(福音館)などがある。

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