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Vol.11 メガネトリバネアゲハ

2017.5.4

 世界で最も豪華なチョウはと問われれば、多くの人がこのトリバネアゲハ属(Ornithoptera)のチョウを上げるだろう。トリバネアゲハの分布は、生物地理学上のオーストラリア区に限られる。その多くはニューギニア島など、かっては訪れることが難しかった地域に住んでいる。それ故、19世紀にはヨーロッパのコレクターたちが、血眼になってトリバネアゲハを求めたのである。トリバネアゲハの仲間は雄が美しく雌は巨大だが地味だ。

ミドリメガネトリバネアゲハの交尾 インドネシアアンボン 上がメス

ミドリメガネトリバネアゲハの交尾 インドネシアアンボン 上がメス

 トリバネアゲハの中で最も分布が広く、最も普通に見られるのがメガネトリバネアゲハだ。メガネトリバネアゲハは、西はインドネシアのスラウエシ島に接するサナナ島から、東はソロモン諸島、南はオーストラリアのブリスベーン近郊まで、その分布域はオーストラリア区のほとんどに及んでいる。

アカメガネトリバネアゲハ ハルマヘラ島

アカメガネトリバネアゲハ ハルマヘラ島

 前翅の中央が黒く、そのまわりを取り囲むように金属光沢のある美しい緑色で、ごく近縁亜種に青色又はオレンジ色の縁取りがあるものもいる。ちょうどそれがメガネのように見えるところからメガネトリバネアゲハという和名がついた。学名はOrnithoptera priamus、Ornithopteraは鳥の羽、priamusは神話のトロイ戦争の時のトロイの王様の名である。

アオメガネトリバネアゲハ ニューアイルランド島

アオメガネトリバネアゲハ ニューアイルランド島

 チョウは原則日本では生きたものは輸入禁止である。だから日本の動物園や昆虫園では見ることができないが、トリバネアゲハが舞う温室があれば見に行きたいものだと思う。

著者プロフィール

海野和男 (うんの・かずお)

1947年、東京生まれ。子どもの頃から昆虫が大好きで、東京農工大学で昆虫行動学などを学び、卒業後は昆虫の撮影にうちこむ。アトリエのある長野県や世界各地で撮影を続ける。ホームページ「小諸日記」では、1999年より写真にコメントを付け、17年間毎日更新している。児童書や写真集など昆虫関係の著作が多い。写真集、「昆虫の擬態」(平凡社)で1994年日本写真協会賞受賞。世界のカマキリ観察図鑑(草思社)カブトムシの百科(データハウス)蛾蝶記(福音館)などがある。

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