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Vol.4 “ありえない動物”ハオリムシのいる日常 4回目

2018.6.6

“ありえない動物”ハオリムシのヒミツに迫る本連載。4回目となる今回は、前回に引き続き、ハオリムシの展示について紹介しますが、今回はハオリムシを特集した特別企画展について、ご紹介したいと思います。
かごしま水族館では年に3回、特別企画展を行っています。この特別企画展は約3か月間の期間限定で、普段とは違った視点で生きものの魅力を紹介する、という趣旨の企画展示です。生き方に注目したり、環境に注目したり、特定の生きものにスポットをあてて、とことん解説したり、2018年現在61回の特別企画展を行ってきました。
2013年夏、国際火山及び地球内部化学協会(IAVCEI)の学術総会が鹿児島で行われるのに合わせ、「錦江湾の大発見~サツマハオリムシの生き方に迫る~」と題し、ハオリムシについてとことん紹介するという特別企画展を実施しました。

おそらくハオリムシだけで夏の特別企画展を組むことができるのは、世界広しといえど、“ハオリムシにゆかりの深い”かごしま水族館だけだと思います。それだけにとても気合の入った展示となりました。
ハオリムシを一から十まで知ってもらうため、分類、生態、分布、生活史、飼育など様々な側面からハオリムシを紹介しました。さらに子どもたちにも楽しんでもらえるよう、キッズコーナーも設けました。
普段はなかなか見ることのできない、海洋研究開発機構(JAMSTEC)やフランス海洋開発研究所(IFREMER)が所蔵する貴重な標本も、両機関の協力を得て展示することができました。特に世界最大のハオリムシ、ガラパゴスハオリムシRiftia pachyptila の標本は太さが3 cm、長さは60 cmあまりになり、その大きさと太さはサツマハオリムシと同じハオリムシ類とは思えないくらい立派で、圧巻でした。

顕微鏡を使った展示も試みました。ハオリムシはじめゴカイ類がもつトロコフォア幼生のかたちやうごきを直接見てもらうため、カンザシゴカイを例に、顕微鏡でカンザシゴカイのトロコフォア幼生の生体を展示しました。

子どもたちの遊ぶキッズコーナーでは、ボールプールや、今も現役のぬいぐるみを展示し、ハオリムシの生態や形態を遊びながら知ることができるような工夫をしました(3回目ぬいぐるみ写真参照)。
他にも企画展に合わせてハオリムシのオリジナルグッズを作ったり、とにかくお祭り騒ぎになりました。
ハオリムシというテーマに賛否はあったものの、この企画展を通じてハオリムシを多くの方に知ってもらうことができたのではないかと愚考しています。
蛇足ですが、特別企画展開催中、桜島フェリーの納涼観光船で行われた大声コンテストで、「サツマハオリムシ大好きだー!」と叫んだ方がいたとかいなかったとか。ぜひお話ししてみたいとところです…

次回は生きものとしてのハオリムシの話題にもどり、鹿児島湾のハオリムシ生息域についてみていきたいと思います。

著者プロフィール

八巻 鮎太(やまき・あゆた)

1984年神奈川県生まれ。北里大学水産学部卒業。広島大学大学院博士課程後期単位取得退学。
2012年よりかごしま水族館で勤務。魚類、無脊椎動物の担当。
学生時代はハオリムシの生態について研究。現在は他機関との共同研究を進めながら、ハオリムシの普及と知名度向上に努める。趣味は岩登り。

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