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渡りの季節

2014.11.8

 夏が終わり木々の黄葉が始まる頃、渡り鳥たちは南へ帰る準備を始めます。その旅の前に鳥たちが羽を休めるフィールドがフェアバンクス郊外にあり、カナダヅルやシジュウカラガン、ハクチョウ、そしてカモなどが飛来します。春と秋の渡りの季節、鳥たちに会いによくそこへ訪れます。

撮影:星野直子

撮影:星野直子

撮影:星野道夫

撮影:星野道夫


 今年の秋、ある北風の冷たく吹く日に訪れると、数百羽のカナダヅルが所々でエサをついばみ、羽を休めていました。時折数羽から10羽程の小さなグループでフィールドへやってきたり、新たに飛び立って行ったりする様子を観察しながらトレイルを歩いていると、ひときわ大きな声で鳴き声を交わしているのが聞こえてきました。そちらの方へ向かうと、100羽ほどの大きなグループがいるのが見え、木々の陰からその様子をそっと見ていました。

撮影:星野直子

撮影:星野直子

撮影:星野道夫

撮影:星野道夫


 風がだんだん強さを増し、手はかじかみ体もすっかり冷えてしまい、そろそろ帰ろうかと思った時です。何の前触れもなく一斉に鳥たちが羽ばたき、空に舞い上がりました。カナダヅルに続き、シジュウカラガンやその他の鳥たちもそれを追うように飛び立ちました。おそらく千羽以上だったと思います。あまりの光景にしばらく呆然と立ち尽くし、慌ててカメラを用意し写真を撮ろうとしたのですが、空一面に鳥たちが舞っているのでどこを写真に収めたらよいか見当もつかず、無数の鳥たちが鳴き交わす声に全身包まれながら、ただただその光景を見続けていました。

撮影:星野直子

撮影:星野直子

撮影:星野道夫

撮影:星野道夫


 その日を境にカナダヅルがやってくる数が急に減りました。今は南への旅を続けているところでしょう。少しずつ秋が深まり、またひとつ季節が巡っていきます。

撮影:星野道夫

撮影:星野道夫

著者プロフィール

星野直子(ほしの・なおこ)

1969年生まれ。
短期大学卒業後、書店勤務。
1993年星野道夫と結婚しアラスカに暮らす
1996年カムチャツカ半島にてヒグマの事故により夫が逝去
2000年星野道夫事務所を設立し、作品の管理を務める。

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