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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

身近な自然で暮らす動物たち

2016.8.10

 アラスカの家で過ごしていると、私たちの生活のすぐそばで暮らしている動物たちとの出会いがあります。一番よく出会うのはリスで、トウヒの木の実を食べている姿や、木々の間を走り抜けて行く姿をよく見かけ、“チチチチチ・・・”と鳴いている声が日に何度も聞こえてきます。家の裏庭にはリスの巣があり、巣穴の周りにはトウヒの実の食べかすがうずたかく積もっています。

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 アラスカでの生活が始まった頃は、そのかわいい姿を近くで見たくて、ベランダにある鳥のエサ台にひまわりの種を置き、そこへやってくるリスを見ることを楽しみにしていました。しかし、アラスカでの生活に少し慣れてくると、リスはいろいろなことをすることがだんだんとわかってきました。家の断熱材や外に干した洗濯物を引きずって巣に持っていかれたり、育てていたイチゴを先に食べられてしまったり…。リスとの知恵比べのようで苦笑してしまうできごともいくつもありました。

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 時々、ベランダの手すりや、トウヒの枝先にちょこんと乾いたキノコがのっているのを見つけると、うっかり忘れて行ってしまったのか、わざと乾かしているのか…そんな姿を想像するだけでほっこりした気持ちになります。

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 ムースも庭先で時々見かけます。春先にはヤナギの新芽を食べに来ていたり、夏に庭の手入れをしていた時は、何か気配を感じてふっと目線を上げると、ムースが佇んでこちらを見ていたこともありました。普段そんなに頻繁に見かけるわけではないのですが、雪解けの時期、ムースの冬の乾いたコロコロしたフンの塊を、庭先でいくつも見つけることができ、ムースがここで過ごしていたことがわかります。

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 今までで一番思い出深いできごとは、春浅いある夜のことです。何か外から聞こえてくるような気がして窓を開けてみると、真っ暗闇からフフフフフフ……とかすかな鳴き声が聞こえてきて、まだ幼かった息子と「なんだろうね」と不思議な気持ちでしばらく聞いていたことがありました。その後も何日間か、夜になると聞こえていたのですが、数日後にはぴったりと聞こえなくなりました。後になり、キンメフクロウのオスがメスを呼んでいる声だったことがわかりました。声がしなくなったのはメスを見つけたからでしょうか。姿は見ることができませんでしたが、家のすぐそばで生きている命に思いを巡らせたひと時でした。

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没後20年 特別展「星野道夫の旅」が開催されます。
代表作を含む約250点の作品を展示とともに、
カヤックなど愛用していた品々も併せて出展します。
星野道夫が見てきた世界を一緒に旅するような気持で
展示を見ていただけることと思います。
会場にお越しいただけますと幸いです。

写真展公式HPです。
http://www.asahi.com/event/hoshino20/

著者プロフィール

星野直子(ほしの・なおこ)

1969年生まれ。
短期大学卒業後、書店勤務。
1993年星野道夫と結婚しアラスカに暮らす
1996年カムチャツカ半島にてヒグマの事故により夫が逝去
2000年星野道夫事務所を設立し、作品の管理を務める。

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