日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.44 野生動物学のすすめ2018

2018.5.9

京都市は京都大学と「野生動物保全に関する研究と教育のための連携協定」を2008年に締結しました。実際には、それぞれ京都市動物園と京都大学野生動物研究センターが密接に協力して、10年にわたり野生動物保全に関する研究と教育事業を進めてきました。

というようなことを、この連載のvol. 40で書きました。最近はあまり原稿を出していないせいで、この前書いたばかりのように思えますが、もう1年前になりますね。

前回も、10年前にタッチモニターを使った勉強を始めたシロテテナガザルのシロマティーが10年たって、やる気を失ったというお話を書きました。彼のやる気はその後も回復せず、4月になっても、ごくたまにやって来て、数回触ったら去っていく日が続いています。まだゼロにはなっていないので、トライは続けています。

さて、本題に戻って、今年も京都大学との連携を記念した「野生動物学のすすめ」を4月14日(土)、15日(日)の2日間にわたって行いました。昨年との違いは、連動企画として行う「きょうと☆いのちかがやく博物館」(京都府立植物園、京都水族館、京都市青少年科学センターとの連携事業で、昨年度から京都市環境政策局環境管理課も事業に加わっています)が1日目、京都大学との連携事業を2日目と分けたことです。プログラムとしては、午前中に体験型ワークショップ、午後に講演会、その間日中は野生動物保全に関わるNGO、NPOの団体のブース出展という構成です。

ブース出展の様子

ここから、当日の様子をお伝えします。
1日目は晴れたので、穏やかにスタートしました。

京都府立植物園 西原副園長の「動物園内植物ガイド」

京都市青少年科学センターと、京都水族館のコーナー

環境管理課の「生物多様性クイズ」のブース

京都市動物園の体験型ワークショップ「トラのエンリッチメントにレッツトライ」

エンリッチメント体験。

2日目は、朝からあいにくの雨。それでも事前に申し込んでくれた方がたくさん集まってくれました。

京大野生動物研究センターの杉浦先生のワークショップ。

動物の声を録音し、ソナグラフィーで波形にして見ます。

その他にも、アジアやアフリカの調査地で野生動物の調査をしている若手研究者が、一般のお客さんに対して、動物の解説や調査の意義などを伝えました。

それ以外にも、野生動物研究センターの大学院生たちが自分たちの企画ブースを作ってくれました。

動物園のお客さんと野生動物研究者、お互いに普段は会うことがない人たちが出会って話をする機会を作ること、これが「野生動物学のすすめ」のねらいのひとつでもあります。
大学院生たちにとっては、自分たちが面白いと思って研究していることが、どのように話せば一般の人、とくに子どもたちに伝わるのかを知るよい機会にもなります。

今年から始めた新たな企画として、午前中のワークショップの時間に、ブース出展してもらっているNGO、NPOの方に、現地でどんな暮らしをして、どんな取り組みをしているのかを紹介してもらいました。日本にいては聞くことができない話が聞けて、私自身とても勉強になりました。この時間の後でブースを訪ねてくれる方も増えたということで、ぜひ来年も続けていこうと思います。

雨で始まった2日目も午前中には雨もあがり、午後になると人出も出てきました。
午後の講演会は「野生動物保全ラボの挑戦」と題して、京都大学野生動物研究センター長の村山美穂さんと、村山研の若手研究者である藤原摩耶子さんに

「卵子の保存でつなぐ野生動物の命」
 藤原摩耶子(京都大学野生動物研究センター・日本学術振興会特別研究員)
「DNAからわかる野生動物」 
 村山美穂(京都大学野生動物研究センター長・教授)

という演題でお話をしてもらいました。

ものすごくまじめな内容ですが、50人を超えるお客さんが真剣に聞いてくれました。講演後も活発な質問もあり、お客さんの意識の高さがうかがえました。

ということで、今年もあっという間の二日間でした。
今年は連携10周年ということで頑張ってきましたが、来年も11周年として、また楽しく学べる企画を準備したいと思います。

著者プロフィール

田中正之 (たなか・まさゆき)

京都市動物園 生き物・学び・研究センター長
学位: 博士(理学)
著書: 田中正之「生まれ変わる動物園 -その新しい役割と楽しみ方-」化学同人選書(2013年)

1968年 神戸市生まれ(子どもの頃行った動物園は王子動物園)
1991年 大阪大学人間科学部卒業
  京都大学霊長類研究所の大学院[理学研究科霊長類学専攻(当時)]入学
1995年 同専攻博士後期課程中退。
    (財)東京都老人総合研究所に就職(東京都の職員でした)
1997年から 京都大学霊長類研究所 思考言語分野助手
2008年から 京都大学野生動物研究センター 比較認知研究部門准教授
2013年から 現職

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。