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Vol.2『ハクの成長を振り返る』

2019.11.11

南国高知もとうとう寒くなってきました。高知の秋はあっという間に過ぎ去りそうです。
前回ナマケモノの展示場の素通り率が高くて悲しいという話をしたばかりですが、ここ最近は展示場前で一生懸命写真や動画を撮る来園者が多くなっています。その視線の先にいるのは、本誌で紹介された今年生まれの子ども、「ハク」。10月半ばをもって生後100日齢を迎えました。黒くフワフワとした毛に小さな体、あどけない顔と時々(起きているわずかな時間に)見せる無邪気な仕草が、来園者のハートを掴んでいるようです。今日はそんなハクの成長を振り返ってみようと思います。
ハクが生まれたのは2019年6月26日、小雨が降る開園時間中のことでした。昼前の見回りと見回りの間の、わずかな時間に生まれていたそうです。出産を最初に確認した時には、母親のキュウがしっかりと子を抱き羊膜を舐めてやっているところだったそうです。「そうです」というのは、当日私は休みで他の職員が後に様子を教えてくれたためです。キュウが妊娠している事は間違いないと前年冬から見守っていましたが、なかなか生まれずやきもきしていました。そこへ突然の出産、電話を受けた私はすぐに飛んで行きましたが、しっかりと我が子の世話を焼くキュウを見て、ベテラン母さんに任せておけば大丈夫そうだと一安心しました。

6月30日(6日齢)、移動の時は基本的に母のお腹にしがみついています。

7月4日(8日齢)、餌を持って入ると子が興味を示したので、試しに軽く潰したリンゴを指につけ与えてみました。するとすぐに小さな歯でシャリシャリと食べました。以降も授乳を基本としつつ、固形物に慣れていったようでした。その後すぐ、母が食べるそばから横取りする勢いでガツガツ食べるようになりました。

7月7日(11日齢)、キュウと共に勢いよく餌を食べるハク。

8月3日、投票により名前が正式にハクに決定します。母親のキュウは餌のキュウリから採っていたので、同じく餌のハクサイから採りました。
8月21日(56日齢)、キュウのお腹に背をつけた状態で、木の枝に掴まる動作をしていました。木を移動する練習をしていたようです。
9月17日(73日齢)、この日は今年3回目の夜の動物園だったのですが、それまでキュウの体から離れることがなかったハクが、初めてひとりで木を渡り、餌を食べている様子を確認しました。来園者はこれを見て大興奮でしたが、私も初めて見る光景だったので驚きました。ナマケモノは体の成長が他の動物に比べて遅く、毎日見ていると成長が分かりにくい動物です。それでも、あっという間に固形物を食べられるようになり、地味に歯や爪も伸び、木にも登れるようになっていたのです。やはり野生動物なりのたくましさを持っているのだと気づかされました。

9月17日の夜の動物園の様子。分かりにくいですが、キュウの顔を枝の間にハクがぶら下がっています。

そして生後4ヶ月を過ぎた11月1日現在、ハクは変わらず元気です。まだ殆どの時間はキュウのお腹にしがみついているので、外から見ると肢しか見えないなんてこともざらですが、時折木に登って餌を食べたり、隙間から顔を覗かせる姿は来園者にも人気です。まだまだ小さくかわいらしいハクに、皆さん是非会いに来て下さいね!

著者プロフィール

隈田夏子(くまた・なつこ)

神奈川県出身
実家で毛や羽のある動物の飼育を禁止されていた反動で、中高では生物部に入部。外国産カブトムシの飼育や、学校敷地内の野生タヌキの調査に夢中になる。
2018年に東京農工大学農学部地域生態システム学科を卒業、高知県立のいち動物公園で勤務を開始。
現在フタユビナマケモノをはじめアカハナグマ、オニオオハシなどを担当。

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