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Vol.32 ペンギン通(ツウ)への道 その5

2017.1.15

今回の「ペンギン通(ツウ)への道」第5回は前回に続き健康診断です。
皆さんも一度はレントゲンを撮ったことがあるのではないでしょうか。骨折した時、健康診断での胸部X線検査の時、歯のレントゲン写真を撮ったことのある方もいらっしゃるかもしれません。ペンギンの場合も、歩き方がおかしい時やお腹の中の様子を調べる時などにレントゲン検査を行う時があります。今回はそんなレントゲン写真からクイズです。下の写真はペンギン村亜南極ゾーンに暮らす飛ぶ鳥インカアジサシと泳ぐ鳥マカロニペンギンのレントゲン写真です。AとBどちらがマカロニペンギンでしょうか。

インカアジサシ

インカアジサシ

マカロニペンギン

マカロニペンギン


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レントゲン写真の体勢に惑わされないように…。
ヒントは骨に注目です。
形や色をよーく見てください。






正解は…

「A」がマカロニペンギンです。

見分けるポイントはズバリ骨の透け具合、それから翼の骨の形です。飛ぶ鳥は体を軽くするために、骨の密度が低くなっています。骨の中は細い梁(はり)のある構造でほとんど空洞なのです。反対にペンギンは水の中を潜るため、重くて水圧にも負けない丈夫な骨が必要になり、骨の密度は高く、骨の中に空洞がほとんどないのです。そのため、レントゲン写真ではインカアジサシの骨の中は透き通って黒く見え、マカロニペンギンの骨は中まで白く見えるのです。そして、飛ぶ鳥とペンギンでは翼の骨の形も異なります。ペンギンの翼は水をしっかりとかいて泳ぐことができるよう、翼の骨は板状になり、かつ空を飛ぶ鳥に比べて短くなっています。上のレントゲン写真では翼全体は写っておりませんが、一番体側の骨(上腕骨)を比べることができます。インカアジサシは体に対して長いですが、マカロニペンギンでは太く短いのがわかります。

4

かつては空を飛ぶ鳥だったペンギン。ペンギンが水の中へ進出していく過程で、体のつくりも水中に適したものへと進化していったのです。

さて、前回、今回と健康診断の検査を通し、ペンギンの体のことをより知ることができたのではないでしょうか。
「ペンギン通への道」次回はペンギンたちの気持ちにせまってみたいと思いますので、楽しみにしていてください。

著者プロフィール

森本 大介(もりもと・だいすけ)

1985年奈良県生まれ。
2008年広島大学生物生産学部を卒業後、下関市立しものせき水族館「海響館」に勤務、ペンギン担当となる。2010年から2017年3月まで公益社団法人日本動物園水族館協会のマカロニペンギン個体群管理者を務めた。

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