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Vol.33 ペンギン通(ツウ)への道 その6

2017.7.13

皆さんは友達や家族の人と話す時、相手の気持ちが何となくわかると思います。嬉しい時に笑顔になったり、怒った時には怖い顔になったり、表情から気持ちを読み取ったり、言葉や話し方、しぐさからも気持ちがわかるかもしれません。
実は、同じようにしてペンギンたちの場合も気持ちを読み取ることができます。「ペンギン通(ツウ)への道」第6回ではペンギンの行動から気持ちを考えてみましょう。

では今回のクイズです。下の写真のフンボルトペンギンはどんな気持ちでしょうか?




エサがほしい時でしょうか?甘えているのでしょうか?

正解は巣穴に近づいた飼育スタッフに怒っているところなのです。
怒っている時には写真のように相手に対しくちばしを向け、顔を左右に傾けます。首周りの羽毛が逆立つようになることも怒っているときに多く見られます。
少しだけ怒っている場合、ペンギン同士は「にらみ合い」をします。何羽かのペンギンが集まってお互いに顔を見合っているところに出くわすことがありますが、これは仲良くしているわけではなく、あまり近くに来てほしくないため、少し怒っているのです。

次に下の写真のように首を伸ばしている時は、驚いた時や警戒している時です。

大きな音や初めて見るような物に対して、このような行動がよく見られます。
他には、ペンギンの健康管理で捕まえる必要がある時に、「捕まえよう」という飼育スタッフの気持ちがペンギンたちに伝わってしまうと、ペンギンたちは警戒して、安全なプールの水面から首を伸ばしてこちらの動きを観察します。そのため、捕まえる時にはこちらの気持ちをペンギンに読み取られないように「いつも通り」を演じることが大切なのです。

落ち着いている時の様子(左)と陸にいる飼育スタッフを警戒している時の様子(右)

最後に好きを伝える行動を紹介しましょう。まずは求愛行動です。ペンギンの場合、求愛は基本的にオスからメスに対して行います。下の写真のように背中側から相手を翼でパタパタとたたきます。

交尾の前にもこのような行動をします。また、ペアになるとお互いに羽づくろいをし合う行動が見られます。

相手の首を攻撃しているようにも見えるかもしれませんが、とても優しく相手の羽毛を整えてあげています。

このようにペンギンたちの行動から気持ちを読み取ることができます。どんな気持ちなのかを考えてペンギンたちを観察すると、また面白い発見があるかもしれませんよ。

それでは、6回に渡り行った「ペンギン通への道」は今回で終わりにします。少し難しいクイズだったと思いますが、いかがでしたか。もっとペンギンに詳しくなりたい人は動物園・水族館、それから可能なら野生のペンギンに会いに行き、どんな様子なのかじっくり観察してみましょう。そして気になったことはどんどん飼育スタッフに聞いてみてくださいね。

※こちら「どうぶつのくに」への連載は続きますので、引き続きのご愛読よろしくお願いします。

著者プロフィール

森本 大介(もりもと・だいすけ)

1985年奈良県生まれ。
2008年広島大学生物生産学部を卒業後、下関市立しものせき水族館「海響館」に勤務、ペンギン担当となる。2010年から2017年3月まで公益社団法人日本動物園水族館協会のマカロニペンギン個体群管理者を務めた。

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