皆さん、こんにちは!今回のコラムも前回に引き続き、教育普及担当の高田が担当いたします。2回目となる今回は教育プログラムの1つである「ゾウ糞エコサイクル授業」についてご紹介していきたいと思います。
前回のコラムでご紹介した「学習プログラム」や「ワークシート」「貸出キット」などの教育プログラムはどれも、基本的には1度の授業や1度の利用で完結するプログラムになっています。一方で、当園では複数回にわたって動物園で学習を行うプログラムも行っています。それが「ゾウ糞エコサイクル授業」です。ゾウ糞エコサイクル授業とは、簡単にいうとゾウの糞で作った堆肥を畑にまき、その畑で作った野菜をゾウに与えるという内容で、1年間をかけて実施する授業です。この授業を通して、ゾウの糞から植物が育ち、再びゾウの食べ物になるという自然界のサイクルを疑似体験し、自然界でゾウが果たす役割や、ゾウの生息数が減少した場合に起こる環境の変化について考えることを目的としています。コロナ禍により現在小学校での実施は行っていませんが、例年であれば、近隣の小学校1校と県内の高校1校を対象に実施しています。

対象となる動物はアフリカゾウ
ゾウ糞エコサイクル授業は10年ほど前から実施している事業で、過去には様々な学年に授業を行っていました。その中で、小学校中学年までは、授業で行ったエコサイクルと自然界で実際に起こっているエコサイクルのそれぞれを理解し、それらをつなげて考えるという授業の目的を達成することが難しいようだと感じました。そのため、現在では小学校5年生以上を対象に授業を行っています。また、学校側のゾウ糞エコサイクル授業の位置づけとは、総合的な学習の時間を基本としながら、理科(植物の育ち方の観察)や家庭科(収穫した野菜の調理実習、食育)などとも絡めながら実施をしています。
高校では、調理科の生徒を対象に2015年からゾウ糞エコサイクル授業を行っています。こちらの高校では、地域づくり等にも力を入れており、ゾウ糞を使った野菜の栽培を通して動物園以外にも様々な機関と関わり合いながら独自の授業を行っています。
全体としては約1年をかけて実施するゾウ糞エコサイクル授業ですが、そのうち、動物園の職員が関わり、児童・生徒に直接授業をするのは授業開始時、野菜の種まき前、野菜収穫後の合計3回です。次回のコラムでは、計3回行う授業の内容についてご紹介します。

動物園職員が行う授業の様子