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両生類・爬虫類たち

2011.6.7

現在、沖縄は梅雨の真っ只中で、どんよりと曇った空と雨まじりの日が続いています。さて今回は、やんばるの森にすむ、両生・爬虫類たちについてお伝えしたいと思います。

 

夜道で出くわした ハナサキガエル

夜道で出くわした ハナサキガエル

両生・爬虫類は、一般的に鳥類や哺乳類ほどの広範囲におよぶ移動能力はもたないため、生活行動圏は各々限られています。また、比較的短命であり、個々の世代間隔が長くありません。
このように、より狭い空間で多くの世代サイクルを有することで、独自性をもつ固有種が、たくさん生み出されていったものと考えられています。
なかでもカエルたちは多くの種が生息しており、国内に生息するカエル39種のうち、実に20種ほどがこの琉球列島に分布しています。

 

山間部の源流

山間部の源流

やんばるの森の林床には、ところどころに沢が連綿と流れています。周辺にはコケ類やシダ類など渓流植物が茂っており、沢に沿ってよくよく観察していくと、
もしかしたらさまざまなカエルたちに遭遇するかもしれません。
ナミエガエル、イシカワガエル、ホルストガエルならびにハナサキガエルはいずれも沖縄県の天然記念物に指定されている希少種です。

 

 


特にナミエガエルは沖縄本島北部にしか生息していない、やんばる固有種です。彼らは山間の源流付近に好んで生息しており、渓流の滝つぼの淵などを産卵の場としています。

 

やんばるの固有種 ナミエガエル

やんばるの固有種 ナミエガエル

いくつもの沢が、森を潤す

いくつもの沢が、森を潤す

「生きた化石」イボイモリ

「生きた化石」イボイモリ

イボイモリは、奄美大島、徳之島、渡嘉敷島と沖縄本島の低地から山間部に生息します。 その名のとおり、胴体は肋骨が浮き出ており、まるで鎧をつけているかのように、ゴツゴツ、 とした体つきです。その原始的な形態から、「生きた化石」とも呼ばれています。

 

森の主 リュウキュウヤマガメ

森の主 リュウキュウヤマガメ


爬虫類の代表格、リュウキュウヤマガメは、やんばると渡嘉敷島、久米島にのみ生息する甲長15cmほどの陸生のカメです。普段は常緑広葉樹の林床にて生活していますが、梅雨期など湿度の高い日はより活発に動いてまわります。

 

こちらを窺う クロイワトカゲモドキ

こちらを窺う クロイワトカゲモドキ

また、変わった名前のクロイワトカゲモドキは、ヤモリの仲間なのですが、よく見ると足指に吸盤がありません。このため木枝など高所には登れず、生活の場はもっぱら林床や岩場に限られています。
近年、マングースなどに捕食され、生息数が著しく減少しています。

 

琉球列島には、地殻変動にて大陸と地続きであった時代に渡ってきた動物種と、それ以前にそもそもこの地に生息し、生き抜いてきた動物種とが混在していると考えられています。前者は中国大陸沿岸、台湾、九州など周辺地域に近縁種がおよそ分布している場合が多いのに対し、後者は近縁種がいないか、もしくはかなり離れた地域にしか生息していません。イボイモリ、クロイワトカゲモドキなどは、周辺に近縁種が分布していない後者のタイプで、これらは、遺存種とも呼ばれます。

 

新たな森の息吹(ヘゴの新芽)

新たな森の息吹(ヘゴの新芽)

両生・爬虫類については、近年多くの種で生息数の減少や生息域の狭小および分断が報告されています。
島々に住む、ユニークで個性豊かな生き物たちを、いつまでも残していきたいと願うのです。

 

 

 

 

 

追伸
「遺存種」とは、原始からその形態を留めたまま生きながらえている種や、かつて地球上で繁栄していたものの、生息数、分布域、近縁種等が衰退しながらもわずかに生き延びている種のことを指します。
彼ら遺存種は、時代の変遷を生き続けていくことで、現在のこの世の中に、地球の太古の記憶を思い出させ、歴史を顧みることへの必要性を、無言のうちに示してくれている、そんな存在のように思えてくるのです。

著者プロフィール

伊東 孝(いとう たかし)

福岡県生まれ。大学卒業後より2014年まで、名護自然動植物公園(ネオパークオキナワ)に勤務する。獣医師。

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