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はじめまして
ヤンバルクイナ

2011.10.22

夏休みも終盤に入り、まだまだ県内外からの観光者で賑わっている、ここ沖縄から、今回はやんばるの森に住む、飛べない鳥ヤンバルクイナについて、お伝えしていきたいと思います。

 

飛べない鳥 ヤンバルクイナ

ヤンバルクイナは、1981年に国頭村与那覇岳にてはじめて捕獲され、新種として発表されました。
先進国である日本にあって、在来産鳥類の新種発見は59年ぶりとのことで、当時とても大きな話題となりました。

 

このような世紀の大発見で一躍有名になったヤンバルクイナですが、新種として広く認められる以前から、実は地元では「アガチャー」と呼ばれ、存在自体は知られていたようです。

 

ヤンバルクイナは、ツル目クイナ科に属する、全長約35cm、体重450g程の比較的小型の鳥類です。国の天然記念物に指定されており、世界中で唯一やんばる地域にのみ生息する固有種です。

 

1985年の環境庁(現環境省)による調査によれば、推定1,800個体であった生息数が、2005年には約700個体(山階鳥類研究所調査)にまで減少するにいたりました。ここ数年間はおよそ1,000個体程度の生息数を維持しています。

 

飼育下にて繁殖した個体

当園では、このヤンバルクイナをおよそ20年前から、傷病個体の保護ならび飼育を続けています。

 

日本動物園水族館協会に加盟する全国およそ90ヶ所の動物園施設のうち、このヤンバルクイナをみることができる園は、ここネオパークオキナワだけなのです。

 

 

やんばるの横断路 県道2号線     樹木が道を覆うほど茂っている

 

沖縄県の政治、経済の中心地である那覇市が位置する沖縄本島南部地方も、現在大きな建物が立ち並び、とても栄えていますが、かつては、やんばる同様、うっそうと茂る森林が広がっていたようです。おそらくは、ヤンバルクイナも沖縄本島一帯にわたって、今よりも広範囲に生息していたのかもしれません。

ヤンバルクイナのあしあと

追伸
普段からヤンバルクイナを飼育していて、いつも見慣れているにもかかわらず、やんばるの森で野生のヤンバルクイナに出会った時、なぜか、とても新鮮な光景として目に映ってきます。彼らは、私たち人間の前にその姿を見せるやいなや、すぐさま再び草木の生い茂った森へ走っていきます。
地元民がかつて呼んでいた「アガチャー」とは、やんばるの言葉で「慌てもの」。今日もこの森のどこかを、いつものように西へ東へと、慌てて駆けていくのでしょう。

著者プロフィール

伊東 孝(いとう たかし)

福岡県生まれ。大学卒業後より2014年まで、名護自然動植物公園(ネオパークオキナワ)に勤務する。獣医師。

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