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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

保護動物のゆくえ

2015.1.7

沖縄本島北部に位置する当園の周囲では、沖縄やんばるに生息する在来種はもとより、渡りの季節には往来する旅鳥たちの姿も頻繁に観察することができます。

国際種保存研究センター

国際種保存研究センター

開園以来、これら野生鳥獣の救護施設として、
ヤンバルクイナやノグチゲラ、リュウキュウヤマガメなど、これまでに数多くの傷病個体が運び込まれてきました。
その保護活動の中心的な役割を担っているのが、
園内施設である国際種保存研究センターです。
当センターでは、救護事業とともにこれら保護個体の展示飼育と繁殖をめざした活動を行なっています。


傷病鳥獣救護の目的は、とりわけ私たち人間が及ぼす自然環境への影響により、傷ついた野生動物の生命を救うことにあります。しかしながら、実際には、保護収容されても、無事野生復帰にいたる事例はごくわずかにすぎません。

交通事故により、右腕を骨折したオリイオオコウモリ

交通事故により、右腕を骨折したオリイオオコウモリ

骨折した右腕の骨に金属ピンを埋め込み、整復している 〔左下図は整復前の状態  (レントゲン写真)〕

骨折した右腕の骨に金属ピンを埋め込み、整復している
〔左下図は整復前の状態 (レントゲン写真)〕


加えて、傷病鳥獣の救護に携わるということは、感染症の持ち込みによる園内飼育動物への伝播の危険性や、野生復帰できない個体の終生飼育の管理体制、有害鳥獣や移入種に関する対応の考え方等、簡単には片付けられない問題を抱えることとなります。

レントゲン室をつくっています

レントゲン室をつくっています

また、地方の小さな民営動物園にあっては、動物治療のための医療体制も十分に整えることができない現実があります。

動物園施設が、これら多くの課題に立ち向かいながら、野生動物の保護に対して、どのように関わっていくべきなのか、あらためて考える時期に差し掛かっているのかもしれません。


 

 

追伸
離れた倉庫の片隅から、使えそうな注射器と縫合針を探す作業が、就職後ここでの初めての仕事でした。少しずつ、治療のための器具を寄せ集め、手作りでも、立派でなくても、ようやく治療室らしきものが出来てきました。
かつて、どこかのまちの病院で、ほこりをかぶっていた医療機器が、いま、この場所で、再びまた現役選手として、動物たちの健康を守ってくれています。彼らは、暗い闇の中で立ち止まった時、かすかにでも光を照らしてくれる、私に力をかしてくれる、かけがえのないものたちなのです。        (2014年4月30日 執筆)

著者プロフィール

伊東 孝(いとう たかし)

福岡県生まれ。大学卒業後より2014年まで、名護自然動植物公園(ネオパークオキナワ)に勤務する。獣医師。

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