日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.29 動物たちのそれぞれの特徴 ~アフリカゾウのからだのしくみ~

2026.3.26

 八木山動物公園フジサキの杜では、100種以上の動物を飼育展示しています。体が大きい動物、小さい動物。鼻や首、脚が長い動物。立派な牙や角がある動物。体の模様が独特な動物。同じようで同じではない、動物たちはそれぞれの特徴を持っています。
 今回は、アフリカゾウの特徴をお話します。アフリカゾウは地上では最大の動物で、大きな体に大きな耳、長い鼻や立派な牙が特徴です。

今年で推定60歳になるメアリー

ゾウの大きな耳は音を聞くだけではありません。耳を広げることで相手に自分の体を大きく見せたり、パタパタと動かすことで体温を下げることができます。
 では、なぜ耳をパタパタ動かすと体温が下がるのでしょうか。それは、耳の裏側には太い血管が張り巡っており、耳を動かすことでその血管に流れる血液が冷えるからです。獣医師は、その血管から採血して血液検査をしています。
 また、ゾウの耳はとても大きいですが、それに対して耳の穴はとても小さいです。鼻の穴は大きいのに、耳の穴は指が入るくらいのサイズしかありません。これは、私自身も初めて見たときは驚きました。

(左)横たわったリリーの耳の裏側
(右)そこの血管から採血する獣医師


(左)ゾウの耳の穴は目の位置から30㎝くらい横にスライドした辺りにあります
(右)リリーの耳の穴は人差し指が入るくらいのサイズでした

長い鼻も大きな特徴です。ゾウの鼻は鼻の下の部分と上唇がくっついて伸びた形になっています。なので、鼻を上げると口の中が見えます。

鼻を上げたリリー

 鼻は筋肉でできていて、丸めたり伸ばしたり、物をつかむことができます。ゾウは足が長く頭の位置が高いので、エサや水を口に運ぶためには鼻の働きが非常に重要になります。餌を鼻先でつかんで口に入れたり、鼻先を水に入れて吸い込み、口の中に吹き入れて飲みます。ゾウにとって鼻は私たちにとっての手と同じように大事な体の一部になのです。

(左)メアリーの鼻先
(中・右)リリーの鼻先 上下の突起が動きます

ゾウの牙はライオンやトラなどの肉食獣の牙とは異なります。肉食獣の牙は犬歯ですが、ゾウの牙は上の前歯が伸びたもので、門歯と呼ばれます。イメージとしてはネズミやハムスターの前歯がもっと伸びたものでしょうか。ネズミやハムスターの前歯は一生伸び続けますが、ゾウの牙も一生伸び続けます。
 牙は闘争だけに使うのではなく、地面を掘ったり、鼻と上手に使い合わせてエサや物を運んだりします。

(左)鼻と牙の間に青草を挟む様子
(右)牙で地面を掘る様子

 口の中を見てみると、ゾウの歯には私たちのような前歯がなく、上下の両サイドにだけ歯があります。

メアリーの口の中

 歯の生え変わりの仕組みも独特です。私たちヒトは乳歯と永久歯の2種類しかなく、1回だけ上から下、下から上へとエレベーターの動きのように生え変わります。それに対し、ゾウは生涯に5回生え変わり、6本の歯を使います。歯ぐきの奥から新しい歯が生えてくると、エスカレーターやベルトコンベアーのように新しい歯が古い歯を前へ前へと押し出していきます。イメージとしては奥歯が前歯の位置に移動してくるみたいなものでしょうか。新しい歯に押されて歯ぐきから飛び出した古い歯は、少しずつパキパキと割れて小さくなり、やがて新しい歯に生え変わります。

(左・中)ゾウの頭骨(うしろの大きい歯が新しい歯)
(右)メアリーの欠け落ちた歯

歩き方、足の運び方も面白いです。右側の前足、後ろ足が連動して動き、次に左側の前足と後ろ足が連動して動いて歩きます。これを側対歩といい、当園で飼育している動物では、キリンやラクダ、ラマがこのような歩き方をします。
もうひとつ面白い発見が。ゾウは前足を着いたところに後ろ足が着きます。足跡を見ると、2つの異なる足跡が重なりあって同じ場所を踏んでいることが分かると思います。なるほど、運動場を歩いていて、糞を踏まないのはそういうことなのかと思いました。きれいな場所を踏んで歩く前足と同じ場所を踏むから、後ろ足で糞を踏むことがないのですね。

重なっている足跡(丸いのが前足で細長いのが後ろ足の跡です)

 動物たちはそれぞれの特徴を持っており、ゾウを見てもこれだけの特徴があります。皆さんが知らない面白いことが、まだまだあるかもしれませんね。
 ぜひ、実際に動物園に足を運んで、いろいろなところを観察して、新たな発見をしてみてください。

著者プロフィール

高橋 信也

1972年生まれ 仙台市出身。
1994年から仙台市八木山動物公園で勤務。
現在は、アフリカゾウ、アミメキリン、フラミンゴの担当。

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。