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Vol.4 シマフクロウの孵化と巣立ち

2018.7.4

シマフクロウ母鳥とヒナ(写真提供:旭川市旭山動物園)

今年のゴールデンウィークは後半雨と低温続きで、こんな年は滅多にないなと思うくらい行楽日よりはありませんでしたね。おまけにサクラの満開も重なって、動物園的には最悪の天候でした。皆さんはどのように過ごされたでしょうか?
 それでもサクラの開花と共にシラカバやヤナギ続いてミズナラなどの広葉樹が芽吹き始め春の足音は旭川にも届きました。園内のシラカバの折れた枝の先にアカゲラがいて盛んに折れた枝の先に嘴をつけてじっとしていました。虫を捕るにはおかしな格好をしているなと思いよく見ると水を飲んでいるのでした。この時期にシラカバの枝を切ると驚くほどの水がしみ出すと言うより吹き出してきます。休眠から醒め一気に開花、そして葉をつけるためです。
 4月の閉園中にもうじゅう館オープンの平成10年から飼育していたライオンのレイラが死亡しました。レイラの死で初代もうじゅう館の飼育個体はいなくなりました。時間は確実に刻まれていることを改めて感じました。閉園期間中のできごととして、タンチョウの抱卵開始とシマフクロウの孵化がありました。シマフクロウについては昨年に続き2度目の産卵、抱卵でした。どちらも2個の産卵でしたが昨年は無精卵に終わりました。今年は交尾も確認できており期待は高まっていました。冬期開園期間の抱卵中から巣内の様子をカメラで記録しており、同時にモニターで来園者にも公開していました。孵化は閉園期間中になってしまいましたが無事に2卵共孵化しました。モニターにチラッと映った雛の姿に飼育担当者はハイテンション!皆でおめでとう!と盛り上がりました。父鳥がせっせと餌を巣に運び母鳥に渡し、母鳥が雛に給餌し雛たちは無事に成長していきました。夏期開園と同時にモニターで見てみて!とは言ったものの母鳥が羽の下でがっちりと暖めていてその姿を見られるのは粘り強いかラッキーかのどちらかぐらいでした。ゴールデンウィークも終わり雛たちはぐんぐん成長し、夜間だけでは足りずに昼間でも父鳥が餌の魚を捕り巣に運ぶ姿が見られるようになりました。外気温も上がり雛自身の体力もついてきて、母鳥も巣を離れる時間が長くなってきました。巣の入り口から雛たちが顔を見せる時間も増えてきました。この手紙が届く頃には無事に巣立ちをしていることでしょう。
 シマフクロウは北海道の豊かさの象徴であると同時に、約165羽という余りにも少ない生息数は北海道の現状の象徴でもあります。
 彼らの命を繋ぐ営みを見ていると、私たちが大切にしなければいけない自然の姿が具体的に見えてきます。

著者プロフィール

坂東 元 (ばんどう・げん)

1964年2月25日、旭川生まれ。
旭山動物園第9代園長。
84年酪農学園大学獣医学部獣医学科卒業後、86年に獣医として旭山動物園に入園。
飼育展示係長を経て、2004年副園長となり、2009年から現職。

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