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Vol.7 待望のキリンの赤ちゃん誕生

2018.12.4

キリンの赤ちゃん。平成30年10月12日撮影(写真提供:旭川市旭山動物園)

 冬の足音が聞こえる季節になりました。今年は冬の準備と言うよりも冬の備えを強く意識する必要がありそうですね。環境のこともそうですが、当たり前は「誰か」が背負うものではなくみんなひとりひとりが考え具体化し負担し背負っていかなければいけない時代になってきたのだと思います。
 さて動物園では今年も多くの命の誕生がありました。その中でも特に思い入れと言いますか感慨深い命の誕生が10月にありました。アミメキリンの誕生です。キリンの繁殖成功は実に20年ぶりのことになります。厳密に言うと皆さんにお披露目ができたのが20年ぶりと言うことになります。20年前の平成10年はもうじゅう館が完成した年です。覚えてる方いらっしゃるでしょうか?「タミオ」と「マーナ」ペアーの子です。この子は1歳1ヶ月で本州の動物園に旅立って行きました。キリンは2歳前後までには他園館に移動しなければいけないのですが、「エッ!なぜかって?」3歳になると繁殖可能になり近親交配の危険が生じることもあるのですが、身長が伸びすぎて輸送が困難になるのです。輸送箱に入れトラックの荷台に積んでトンネルを通れるのが2歳くらいまでなのです。身長が3メートルを超えると輸送檻の高さ+トラックの床までの高さで4メートル前後になってしまいます。様々な高さ規制を考えるとほぼ限界なのです。3歳を超える個体を輸送するとなると首を前にある程度倒せる特殊な形状の輸送檻を作製する必要があり輸送のリスクも高くなります。勿論トンネルがなければ手続きをすれば輸送は可能なのですが…旭川の場合は道内でも札幌、帯広、釧路どの動物園に行くにもトンネルは…ありますよね。
 話がそれましたが、1999年マーナ、2004年タミオが死に旭山は一時期キリンのいない動物園になりました。その後2006年メスのマリモが来園、2008年ゲンキが来園します。マリモはゲンキとの間に2頭の子を出産をしますが、出産当日、2頭目は出産翌日に死亡してしまいました。施設の不備も子の死亡原因の要素だと考えられました。3頭目を身ごもった状態で2013年新居きりん舎かば館に引っ越しをしました。新居は繁殖を念頭に寝室を作ったのでここで3度目の正直を期待していたのですがマリモは蹄の変形から関節の変形・炎症が進行し、このことが原因で2014年転倒し誤嚥死しました。
 そして2015年アメリカから「結」の来園、今回の初産での育児成功となりました。キリンに関しては過去にもこの日記で幾度も書いてきましたのでぜひ読み返してもらえたらと思います。書きながら次から次に思い出があふれてきます。
 これでやっと「きりん舎」は命を繋ぐことができるキリンの住み家になりました。

著者プロフィール

坂東 元 (ばんどう・げん)

1964年2月25日、旭川生まれ。
旭山動物園第9代園長。
84年酪農学園大学獣医学部獣医学科卒業後、86年に獣医として旭山動物園に入園。
飼育展示係長を経て、2004年副園長となり、2009年から現職。

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