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ぺんぎんのくにへ

2011.6.5

「野生のペンギンをナマで見られるチャンス!」こんな見出しをみたら、このHPの読者の皆さんだったら、両手を挙げて参加したくなるかもしれませんね。

もちろん私もです。北海道の学校で理科を教えている私が「南極の昭和基地で勉強をして、もっともっと良い理科の授業をしなさい」というチャンスをいただいたのです。やった、昭和基地でペンギンが見られる!って思っていたら、基地にペンギンは住んでいませんよって言われました。

あれ、そうなの?でも、よく考えたらそうですよね。ペンギンたちが住むところに、基地を建てたら大迷惑です。では、ペンギンが住むところはどんなところだろう、そんな疑問をもってペンギン観察のスタートです。

昭和基地付近では、20kmほど南の地域でアデリーペンギンが見られます。

南極は氷の国だと思っていた人には写真は意外に映るかもしれません。南極でも夏には岩場が現れる場所もあり、アデリーペンギンはこんな場所で子育てをします。もう一種、南極で子育てをする主なペンギン、コウテイペンギンは氷の上を利用します。

 

この地域は夏なら0℃位。風がなければそう寒くはありません。そこかしこで聞かれる親鳥の声、ヒナの声は澄み切った南極の風に吸い込まれ、不思議な静けさに包まれています。食べ物の豊かな海が子育ての場所(ルッカリーといいます)から近いのがわかりますね。

みなさんの好きな動物園でも同じようにペンギンが生活する場所の近くにプールが作られていると思います。そんなの当たり前だよって思うかもしれませんが、南極ではこれが当たり前ではないのです。

冬、ここはびっしりと氷におおわれるのです。冬はここで生活できません。でも夏になったらすぐこの場所で子育てをスタートしたい。

夏はみじかいですからね。どうしたら良いでしょう?それには冬のおわりに、ここまで歩いてくるしかありません。ペンギンは何十キロも歩いて旅をするという話を聞いたことがありますか。その理由は、こんな所にありました。

もう一つ、動物園との大きな違いを発見しました。一緒に住む生物がいたのです。ナンキョクオオトウゾクカモメといいます。ルッカリーのすぐ隣に一つがい住んでいて、毎日毎日、ペンギンのヒナを狙っているのです。

残酷?でもね、カモメの巣をのぞいてみたら、そこにはカモメのヒナがすくすく育っていたのです。

厳しいけれども、ペンギンもカモメも一所懸命に生きているのでした。

著者プロフィール

酒井誠至(さかい・せいじ)

東京生まれ
趣味 乗馬
 住宅事情によりペットが飼えなかった反動で、野山の生き物好きになりました。専門的な知識はないけれども、星空を眺めたり野山を散歩したりと自然を感じられる生活を送りたいと思っています。
 北の大地に憧れ北海道立高校の理科教員となり、現在は北海道登別明日(あけび)中等教育学校に勤務しています。
 第52次日本南極地域観測隊夏隊(2010年11月出発)に同行し、見てきたことをこのHPでお伝えしたいと思っています。 

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