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地上最強のコンビ

2011.7.14

南極大陸の生物の勉強をしよう。そう思って手に取った本は「南極の科学7 生物(極地研究所)」。280ページもありましたが、半分は海の生物。ちょっとしんどいので、この部分はいきなり後回し(ずぼらなのです)。アザラシなど、ほ乳類の部分はたったの12ページ、ペンギンなど鳥類で22ページ。南極にはやはり、ほ乳類や鳥類は少ないのです。おかげで楽に勉強が進みました。大変だった65ページ分の生き物、どんな仲間の生き物だと思いますか?それは「植物」。

おや、南極の植物?そんなにいるのかなって不思議に思いませんか。だって氷と岩だらけの大陸ですものね。でも、いるのです。寒くて岩だらけの南極で生き延びる強者(つわもの)たちが。

例えば3番目の写真。え、見えない?じゃあ石英と呼ばれる半透明の石をひっくり返します。と、びっしり緑色の植物が生えていました。藻(そう)類といいます。南極では紫外線が強すぎるため、石の陰で肩を寄せ合って生活しているようです。私に石をひっくり返されて眩(まぶ)しかったかもしれませんね。大急ぎで戻してあげました。それにしても、あちこちに散らばる石英、その一つ一つの下で藻類たちが集団生活をしていると思うとちょっと面白いですね。

そして地上最強(と、私は思っています)のコンビ、地衣(ちい)類です。5,6、7番目の写真。ただしこれは本当は植物ではありません。菌類(カビやキノコが近いかもしれません)の体の中に藻類が入って、共同体となっているものです。菌類がお家を用意し、その中に住む藻類が光合成をして、作った栄養を菌類に分けてあげる、助け合いの関係です。菌類の家は住み心地が良さそうです。乾燥地域でもしっかり水を集められます。南極には氷はたくさんありますが、液体の水は乏しいので貴重なのです。また、菌類は色が濃いものが多く有害な紫外線を吸収してくれたりもします。

そして昭和基地周辺で−40℃にもなるという冬。すべてのものが凍ってしまいそうですね。そんなときの地衣類の最終手段。ひからびてしまうんです。台所にある海苔とか昆布みたいにカラカラになったらもう凍る心配はないですからね。そして春。雪解け水が少しでも流れてきたら水を吸って元通り。最速2秒なんてデータもありますから、インスタントラーメンもビックリです。



地衣類の仲間は日本にも生えています。梅や桜の木の幹にビッシリ生えるウメノキゴケを見たことがあるかもしれませんね(コケっていうのにコケの仲間ではありません。ややこしい。)。

植物なんていなさそうな南極ですが、腰をおろしてじっくり観察すると実に多様な「植物」が元気に育っていました。生き物は意外とたくましい。これは大きな発見でした。

著者プロフィール

酒井誠至(さかい・せいじ)

東京生まれ
趣味 乗馬
 住宅事情によりペットが飼えなかった反動で、野山の生き物好きになりました。専門的な知識はないけれども、星空を眺めたり野山を散歩したりと自然を感じられる生活を送りたいと思っています。
 北の大地に憧れ北海道立高校の理科教員となり、現在は北海道登別明日(あけび)中等教育学校に勤務しています。
 第52次日本南極地域観測隊夏隊(2010年11月出発)に同行し、見てきたことをこのHPでお伝えしたいと思っています。 

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