日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.3 ゾウを取り巻く環境

2012.2.9

昨年にアメリカのホイップスネード動物園で繁殖したアジアゾウの親子が芝生の上を散歩し脇に飼育係りが付き沿っている様子が紹介されていました。ゾウをハンドリングする担当者と信頼するゾウの関係は微笑ましいものです。

さて、動物園でのゾウを取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化するような情勢です。「どうぶつのくにnet」をご覧になっている皆さんはアンテナを張っているので様々なニュースを見聞きされているかと思います。

 

 

最近ではサーカスに在籍するゾウの取り扱いや動物園でのゾウによる人身事故などが話題にあがりました。AZAによる勧告では2019年から動物園で飼養するゾウたちは準間接飼育に切り替えるという方針が打ち出されました。あくまでアメリカ国内の動物園協会に所属する動物園内での話でが、協会に所属していないでゾウを飼育している動物園や施設、ヨーロッパやオーストラリア、アジアや原産地など各地域の動物園協会においても話題になっているようです。これは、動物を飼育しゾウを管理するスタンスもありますが危険防止の観点、担当者の安全面が一番大きく関係しています。数年前にもゾウ飼育指針が示され、飼育頭数や寝室や運動場の広さ、飼育環境や飼育方法まで事細かに記載されており、条件を満たさない動物園はゾウを飼育する資格を失うような事項まで決められており、実際にゾウの飼育を取りやめた動物園もあるようです。

 

 

日本動物園水族館協会においても飼育指針を示していますが法的拘束力は無く各園館による独自の飼育方針で飼育管理されています。これは各々の動物園で様々な条件のもと飼育されており同一条件での飼育は難しいのが実情です。新しく建設される施設やこれからゾウの飼育を目指す動物園は安全管理指針や動物の福祉などを考慮して建設されなくてはなりません。

 

 

そして、時々動物園においての事故例が報告されます。ある意味ゾウを適正?に管理されていない部分もあるのかもしれません。しかし、その適正な管理というのはどのようなものなのでしょうか?危険防止の観点・・・・担当者としては今が適正な管理と感じ考えゾウと接し飼育しているはずなのですが、これも実際に扱う側と管理者側での危険認識の温度差の相違があります。しかし、ゾウと接する直接飼育で小さなトラブルが認められると危険防止の観点からはNOとなります。私たちはその小さなトラブルを起こさない、遭遇しない飼育方法を常に心がけなくてはなりません。確かに間接に切り替えれば、人間と接触しなければ事故がおきることは無いのでしょう。しかし、単純にすべてのゾウの飼育方法を間接飼育や準間接飼育へ移行することがゾウの福祉面や飼育担当者の安全やメンタル面の福祉につながるのかは私自身自問しております。

著者プロフィール

椎名修(しいな・おさむ)

1962年3月群馬県出身。
『ばくの動物園日記』に登場する西山登志男さんにあこがれる。
群馬県サファリパーク、姫路セントラルパークにてアフリカゾウの飼育を経験をへて愛媛県とべ動物園に勤務。
ソロモンの指環を求めて現在に至る。

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。