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Vol.2 水遊び 大好き!!

2015.6.15

昨年11月、京都市動物園にラオスから4頭の子ゾウがやってきました!
冬美トンクン(メス、7歳)、春美カムパート(メス、5歳)、夏美ブンニュン(メス、4歳)、秋都トンカム(オス、3歳)です。

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もう子ゾウたちに会いに来られた方は、このように子ゾウたちが楽しそうにプールに入って水浴びしているのをご覧になったかもしれません。2月末のお披露目から最近までは、とても頻繁に水浴びをしていました。ただ、晴れの日が続きかなり暖かくなってきてからは、あまりプールに入りません。3月には私たちがかなり寒いと思う日にも平気で水浴びをしていたのに、不思議です。(ただ、水浴び後に寒くて震えていた子もいましたが…)

ゾウの水浴びは、人のお風呂と同じように、体についた汚れを落とす役割があります。そして、飼育下では雨の日は、ゾウが活動的になると言われており、水浴びもよくすることが知られていますが、その理由はまだわかっていません。

さあ、こんなゾウたちですが、水浴びの時間は子ゾウたちの遊びの時間でもあります。4頭が密着して、いろんな行動を見せてくれます。

他の子の体の上に鼻を乗せてみたり…

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もたれかかってみたり…

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なかでも最もよく目立つのはこの姿ではないでしょうか。

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ちょっとわかりにくいですが、この写真では春美カムパートが冬美トンクンの背中に前足をかけて乗っています。

この行動は「マウント」と呼ばれています。通常、陸上でオトナのオスがメスにマウントすると、交尾の体勢となりますが、遊びの一つの行動としても特に水浴び中にはよく見られる行動です。そしてこの場合、多くは年下の個体が年上の個体に乗る形になります。逆もありますが、少ないと思います。子ゾウたちの間でも、一番小さな秋都トンカムや2番目に小さい夏美ブンニュンが、一番大きい冬美トンクンや春美カムパートにマウントすることが多く、冬美トンクンが他の個体にマウントしているところを見たことがありません。冬美トンクンは、他の3頭より年齢も上で一回り体が大きいので、お姉さんとして年下の子たちを遊ばせてあげているのかもしれません。

そして水から上がると、ゾウたちは体がかゆくなるらしく、地面や体を周りにあるもので掻き始めます。
体重が1785キロもある冬美トンクンも横になって地面に体をこすりつけます。

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一番ちびっこの秋都トンカムも。

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…と思っていたら、近づいてきた夏美ブンニュンに乗られました。

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これもマウントと同じように、遊びのひとつとして特に若いゾウでよく見られる行動です。上に乗っている子が下の子をいじめているわけではありません。単に楽しくじゃれているだけです。

ゾウは母系の集団で生活し、家族の集団がいくつか集まったり、また別れたりを繰り返す、「離合集散型」といわれるとても複雑な社会を作っています。また、ゾウの中には順位があります。ゾウの遊びについては、まだまだ研究が少なくわからないことも多いですが、子ゾウたちが遊びの中で、ゾウの社会について学び、そこで生きていくためのスキルを身につけていくことは間違いありません。

まだまだ明確な順位争いのような行動はみられませんが、遊びを始めとした様々な子ゾウどうしのやりとりから、少しずつ彼らの間の関係性が見えてきているのではと思っています。そして、それがこれからどのように変化していくのかを観察し、最終目標である繁殖につなげていくことも重要だと考えています。

*本稿では,京都信用金庫および洛中ロータリー・クラブによる支援をうけて行われている「ゾウの繁殖プロジェクト」の成果の一部をわかりやすく紹介していきます。

著者プロフィール

安井 早紀(やすい・さき)

2009年、大阪大学理学部生物科学科卒業。京都大学野生動物研究センター、修士課程にてゾウの遺伝子に関する研究を始める。博士後期課程では、約200頭のアジアゾウがゾウ使いとともに生活している、タイ、スリン県のタクラン村にて、アジアゾウの社会行動についての研究を行う。2014年3月に研究指導認定退学後、4月より京都市動物園で飼育員として勤務している。

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