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Vol.3 ゾウの餌のはなし

2015.7.13

 平成25年11月17日に、ラオスからアジアゾウ4頭がやってきました。7月1日時点での年齢は、オス3歳1頭、メス5歳2頭、7歳1頭です。オスは約9歳、メスは約14-15歳で性成熟を迎えるといわれていますので、まだまだ子どものゾウ達です。この子ゾウ達を、将来繁殖できる健康な個体に育てるために、京都市動物園ではゾウの栄養についての研究を始めました。動物園動物全般に言えることですが、ゾウの栄養管理についてもまだまだわかっていないことばかりです。驚くことに、ゾウの栄養管理をする上で、一番参考になる動物は、ウマだそうです。しかし、当然のことながらウマとゾウでは違う点もたくさんあるようです。適切な栄養管理のためには、個体毎にしっかりと調査を行う必要があります。京都市動物園では、以下の3つの指標を中心に調査しています。

① ボディコンディションスコアリング(BCS)
牛などの家畜で一般的に行われている方法ですが、ゾウでも同様に行われています。体脂肪の蓄積量をみる上で、非常に重要な方法と言われています。
ゾウでは、頭部から尾部まで、体全体の9箇所について評価を行います。体重測定や体躯計測も重要ですが、 BCSを行うことによって、体格をより正確に把握することができます。
以下に大人ゾウ(愛称:美都、メス、推定44歳)と子ゾウ(愛称:夏美ブンニュン、メス、5歳)の写真を載せます。ゾウにも、「幼児体型」があるのか、子ゾウは全体的に丸い体格をしており、脚も短く見えます。反対に、大人ゾウの美都は、背筋がまっすぐで、すらっとした体形です。どの個体も、来園当初と比べると、日本の餌をモリモリと食べるようになり、だいぶ体格も良くなってきました。

美都(推定44歳)

美都(推定44歳)

夏美ブンニュン(5才)

夏美ブンニュン(5才)


② 血液検査
定期的な血液検査では、中性脂肪、総コレステロール、血糖値など栄養状態を反映する値も調査しています。
この他にも、京都大学と共同で、血中のミネラル値の変動についても調べています。ゾウは土を良く食べる動物ですので、土食と体内のミネラル量との関係についても解明したいと考えています。

耳の血管からの採血の様子

耳の血管からの採血の様子

③ 栄養の調査
餌の栄養含量はどのくらいか、個体毎にどれくらいの量の餌を食べているのか、個体毎に消化率に違いがあるのかなどを調べるために、岐阜大学と共同でゾウの消化試験も行っています。個体に合わせた餌の献立を作っていければと考えています。

ゾウの餌(ササ、牧草、ペレット、リンゴ) 

ゾウの餌(ササ、牧草、ペレット、リンゴ) 

分析用にバラバラにした糞 

分析用にバラバラにした糞 


獣医師として、病気のない健康なゾウ達に育ってほしいという思いから、日々取り組んでいます。

*本稿では、京都信用金庫および洛中ロータリー・クラブによる支援をうけて行われている「ゾウの繁殖プロジェクト」の成果の一部をわかりやすく紹介していきます。

著者プロフィール

塩田 幸弘 (しおた・ゆきひろ)

1982年生まれ 島根県出身
2010年から京都市動物園で獣医師として働いています。
入って4年目でゾウの担当になりました。
間近で見るゾウは迫力満点ですが,細やかで愛嬌のある子ゾウ達の動きは,何時
間見ていても飽きません!!

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