日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.9 夜のゾウ舎

2016.1.12

当園では、17時ごろに担当者たちがゾウたちにおやすみのあいさつをして、担当者たちとゾウとの一日は終了します。その後、子ゾウたちは次の日の朝まで何をしているのでしょうか?

実はゾウ舎の各部屋には、カメラが設置されています。なので、私たち担当者は仕事が終わった後の事務所や次の日の朝に、夜の子ゾウたちの様子を確認できるのです。なかなかゆっくり一晩中の様子を見る機会はないのですが、今回一日分の4頭の様子を見てみました。

夜のゾウたちの様子と聞いて、一番気になるのは、やっぱりゾウたちはどうやって寝ているのかではないでしょうか。

野生では、ゾウの睡眠時間は3~4時間程度と非常に短いと言われています。そして、野生では、常に周囲を警戒する必要があるため、オトナのゾウはあまり横になって眠ることはなく、立ったままの状態で眠ることが多いのです。ただ、子ゾウたちは野生でも母親に守られながら横になって眠ります。飼育下ではというと、ゾウたちにとっては外敵もいない安心できる環境であるため、一般的に野生下よりも長時間、横になって眠ると言われています。

さて、4頭の子ゾウたちの寝ている様子を順に見ていきましょう。11月29日の夜から30日の朝にかけて、それぞれどのくらい横になって寝ていたのかを調べてみたので、時間の短い順に紹介していきましょう。

第4位 春美カムパート 4時間30分45秒

1

第3位 夏美ブンニュン 4時間57分51秒

2

第2位 冬美トンクン 5時間26分10秒

3

第1位 秋都トンカム 6時間8分9秒

4

隣の部屋の夏美ブンニュンが、柵越しに秋都トンカムの体を触って起こそうとしています。

この日は、最年少の秋都トンカムが一番よく寝ていました。意外にも最年長の冬美トンクンがその次に長く寝ていました。
ここで注意してもらいたいのは、ゾウたちはヒトのように5時間や6時間、ずっと横になって眠り続けるわけではありません。ゾウは体重が重いので、横になると体の下になっている側に負担がかかります。当園の子ゾウたちの場合は、右を下にして30分から1時間ほど寝ると、一度起き上がり、しばらくの間立ったままウトウトしたり、残っている餌を食べたりしてから、今度は左を下にして眠るというように、体を倒す方向を変えながら、何度も寝て起きてを繰り返しています。

そしてもう一つ注目してもらいたいのは、子ゾウたちの寝ている場所です。どのゾウも部屋の奥側で寝ていることが多いのです。なぜかは、はっきりとはわかりませんが、子ゾウたちにとって、部屋の中の寝心地がいい場所があるのでしょうね。

薄暗い中でのカメラの映像から取ってきた写真なので、画質が悪くて申し訳ないですが、夜の子ゾウたちの姿を少しでも楽しんでいただければと思います。

最後は最近の子ゾウ達の様子をきれいな写真で…

寒い日にも関わらず、プールに入る夏美ブンニュン、冬美トンクンと、一緒に遊びたいけど水に入るのは嫌で、細いプールのへりで悩む春美カムパート(一番手前)。

5 6 7

相変わらず夏美ブンニュンや春美カムパートにやんちゃをしかける、秋都トンカム。

担当者を見て、冬美トンクン(左)と春美カムパート(真ん中)がそろって「足上げ」。何かもらえることを期待しているのでしょうか。その隣には、プールから上がってきた後で体が真っ黒な夏美ブンニュン(右)。

8

寒さに負けず、元気な子ゾウたちです。
夜はヒーターのついた暖かい部屋でぐっすり眠って、日本の厳しい冬をこのまま元気に乗り切ってほしいと思います。

*本稿では、京都信用金庫および洛中ロータリー・クラブによる支援をうけて行われている「ゾウの繁殖プロジェクト」の成果の一部をわかりやすく紹介していきます。

著者プロフィール

安井 早紀(やすい・さき)

2009年、大阪大学理学部生物科学科卒業。京都大学野生動物研究センター、修士課程にてゾウの遺伝子に関する研究を始める。博士後期課程では、約200頭のアジアゾウがゾウ使いとともに生活している、タイ、スリン県のタクラン村にて、アジアゾウの社会行動についての研究を行う。2014年3月に研究指導認定退学後、4月より京都市動物園で飼育員として勤務している。

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。