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Vol.13 アオイの来園

2018.11.14

こんにちは!

すっかりご無沙汰してしまいました…すみません。
この原稿を書いている今日は秋の休園期間中です。
1週間しかないので、通常の作業はもちろん、この期間にしかできない作業、
全体打ち合わせ、代番の引き継ぎなど、あっという間に過ぎていきます。

コラムの原稿をさぼって…いやいや、お休みしていた間にいろいろなことがありました。

まずは5月。
鹿児島市平川動物公園からミナが出産したとの嬉しい連絡が!
シンリンオオカミの繁殖は初めてということで、
担当さんと連絡を取り合いながら、成長を見守ってきました。
残念ながらこども4頭中2頭が亡くなってしまいましたが、
残った2頭はやや成長がゆっくりながら元気に育っているようです。

そして6月。
名古屋市東山動植物園からメスのアオイが来園しました!
無事に搬入できるか、旭山の環境に慣れてくれるか、とても心配でしたが
アオイは私の心配をよそに、とても落ち着いて暮らしています。

来園してまもなくの頃

アオイは10歳。オオカミとしては高齢の域に入ります。
今回の移動に関して「なぜ?」「旭山?」と思われた方もたくさんいることでしょう。

現在、国内のシンリンオオカミは大きく分けると2つの系統(血統)があります。
というか2つしかないのです。
そんな中、アオイは国内の他の個体とは血縁がありません。

以前もお伝えしましたが、オオカミはペア・群れの絆が強く、
一度群れができるとペアの組み替えを行うことは難しい動物です。
血統だけを見てペア形成を考えるならば、新しい血統を作ることは可能ですが、
現実的ではないのです。

アオイは非公開施設で飼育しているヌプリのパートナー候補として旭山にお迎えしました。
ヌプリは2016年に群れから分けて以降、カントとミナがいなくなり1頭で暮らしていました。
今後どう飼育していくか考える中で、東山動植物園のオオカミ担当の方とお話しする機会があり、
アオイが長く1頭で暮らしていること、現時点でペアを組む予定はないことを伺いました。
群れで長く暮らし、いろいろな経験もあり、性格が穏やかなヌプリなら、
アオイと一緒に暮らせるのではないかと考え、両園で協議し、今回の移動を実現することになりました。

年齢的にも繁殖のチャンスは1~2回かと考えています。
繁殖できなかったとしても、それぞれ1頭で暮らすよりも、
2頭で暮らせるほうがかれらにとって良いことなのではと思っています。
(もちろん、相性が悪くなければ、ですが)

お迎えしてから約1ヶ月後、同居訓練を開始しました。
それまでも檻越しにお互いが見える状況だったので、同居開始時も特にトラブルはなく、
見守る私たちが拍子抜けするくらい落ち着いていました。
短時間の同居から始め、徐々に時間を長くしていき、朝から夕方まで、そして、夜間も同居、
と進めていきました。
現在は掃除・エサの時だけ別居にしています。
(アオイはスタッフを気にしないのでエサをすぐに食べますが、ヌプリは離れてからしばらくしないと食べないので、一緒に与えるとアオイばかりが食べてしまうのです)

くつろぐアオイと通り抜けるヌプリ

同居してからのほうが、2頭とも1頭で暮らしていたときよりも落ち着いているように見えます。
あいさつをしたり、時々アオイがヌプリを遊びに誘っていたり、仲は良さそうです。

ヌプリは相変わらず私に気付くと室内に消えていきます…。
アオイはスタッフが通ってもまったく気にしませんが、
知らない人が複数で通ったり立ち止まったりすると室内に隠れてしまいます。
ただ、「知らない人」でも頻繁に通ると「知ってる人」に変わるらしく、
この夏は隣のクモザルカピバラ館で工事をしていたので、工事現場に来ている方たちのことは
警戒していませんでした。

後ろ足がセクシー

来園した時はすっきりとした夏毛でしたが、最近は朝晩冷え込むことも多くなり、
だんだんと密な冬毛になってきています。
アオイにとっては初めての北国の冬。
そして旭山に来て初めて迎える繁殖期。
注意深く観察を続けていきたいと考えています。

そうそう、群れのオオカミたちですが、
特に大きな変化はなく、相変わらずノンノが強気です。
ケンの歩き方がゆっくりになり、年齢を感じることもありますが、
まだまだノチウはケンに敵わないようです。

ケンと紅葉

夏は日陰で寝ていることが多かったオオカミたちですが、
最近は寒くなり、日が当たる場所で気持ちよさそうに寝ていることが多くなりました。
今年も落ち葉を入れたので、入れてしばらくは落ち葉の上でよく寝ていました。
第2弾の落ち葉を入れるべく、天気予報をチェックする日々です。
(晴れが続きそうなタイミングで入れたいのです)

それでは、また!

著者プロフィール

佐藤 和加子 (さとう・わかこ)

旭川市出身。
1999年4月、旭山動物園に配属。
こども牧場、インドクジャク・ホロホロチョウ、ダチョウの担当を経て、現在はシンリンオオカミと北海道産動物舎を担当。
ネコ2匹と暮らしている。(でも本当はイヌ派)

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