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Vol.26 ライチョウ歴史探訪 

2024.8.30

 もう、39年も彼らと向き合って写真を撮っています。
これだけ撮っていると飽きそうなものですが、なかなか写真が上達できずに下手なままなので困ったものです。でもそれがライチョウ写真と向き合う原動力になっています。
 それから、体力も低下しますので、だんだん楽なことし手撮ろうとするので、ますます昔の自分を越えられないのです。まあ、これも原動力になっているのでしょうかね。自分自身が目標なのです。やっぱり、ライチョウとは縁が切れずにいます。

物思いにふけるような表情が印象的だった。でもよく見えるといい顔してるな。

 ところで、長年ライチョウト関わっていると、だんだん彼らの周辺事情も気になりだしてきます。絶滅の心配はもちろんありますし、そのための保護のこともとても重要なことがらです。でもそれと同等にまだ私は気になることがあるのです。
 それは、彼らを取り巻くというか、彼らを尊い存在として崇めてきた、我々の先祖であり、それを受け継ぐ我々のことでもあるのですが、その過去に興味を持ちます。それは今いろいろ文献を読んで理解しようとしているのです。

羽繕いの後のブルブル

 歴史の難しいのは、見てない世界を見なくてはいけないのと、先祖の心を理解することです。自分を捨てなくてはいけないというか、自分の感覚で見ようとすると何も見えない。自分の心で理解することがあれば、先祖を蔑ろにしてしまいます。
 歴史は常に動いています。なので解釈の仕方も変化しますが、ここで一つ立ち止まる必要があるのは、果たして、我々の時代と認識だけで、解釈を現代的に理解してもいいのか画難しいのです。事実、歴史探訪では事実誤認もあります。それも致し方ないでしょう。しかし、過去の歴史や思想となると、事実誤認ではなく、我々が正しくない解釈をしてしまう危険もあるのです。特にライチョウは信仰と関わり、人の心に深く浸透していたのです。簡単ではないのです。

8月に入るともうかなり成長している雛。

 歴史を探るには文献がとても重要です。解読から始めたいとわからないものもあります。また書いてあることが確認できない、理解できない時もあります。しかし、昔の人々を理解するならばきっと私も理解できそうに思います。
 少なくともライチョウは不思議な力を持った鳥です。まず、彼らを大切にして、彼らを理解すれば自ずと昔の人々も心も理解できるはずです。いや、その心を引き継ぐことが第一歩なのかもしれませんね。

お盆過ぎ、繁殖に失敗したグループが出来上がっていた。皆、寂し気に思えた。

著者プロフィール

森勝彦(もり・かつひこ) 写真家

22歳でライチョウに魅せられて以後断続的にライチョウを撮影する。
発表媒体は写真集・TV・新聞・雑誌など幅広い。
写真展は過去20か所以上全国規模で開催。
書籍等では、奇跡の鳥ライチョウ(山と溪谷社)・ライチョウ愛情物語~ぼく、負けないよ~(パレード)日本の天然記念物ライチョウ(小学館)などで発表。

HP:ライチョウの小屋
https://www.raicyo-lodge.com/

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