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Vol.29 ニホンライチョウと我々の向き合い方

2024.12.31

 ライチョウは日本の高山地域における象徴的な存在ですが、現在、気候変動による温暖化という深刻な脅威に直面しています。特に、温暖化はライチョウの餌となる高山植物を絶滅させる可能性があり、その結果、連鎖的にニホンライチョウ自体の絶滅も懸念されています。

寒冷でなくては生きられない彼等

 高山植物は、ライチョウの生活に欠かせない栄養源です。しかし、温暖化の影響で気温が上昇し、雪解けが早まることで、これらの植物が適した環境を失いつつあります。高山植物が絶滅すれば、ライチョウは必要な栄養を得られず、生存が厳しくなります。このような状況は、ライチョウの生息地が狭まり、個体数が減少する要因となっています。

高山植物が消滅すればこのような光景も失ってしまう。

 では、私たちに何ができるのでしょうか。まず、温暖化対策を強化することが求められます。地域社会や国際的な協力によって温室効果ガスの排出を削減し、気候変動の影響を緩和する取り組みが不可欠です。また、ライチョウや高山植物の保全を目的とした研究を進め、適応策を見出すことも重要です。

 さらに、多くの人々がライチョウの現状を知り、理解を深めることが不可欠です。教育やメディアを通じて、ライチョウの魅力とその保護の必要性を伝えることで、未来のための意識を高めることができます。

今我々は何を考えるべきか問われている。

 私たちがライチョウと共に生き続けるためには、自然との共生を真摯に考えることが求められています。ライチョウがその美しい姿を次世代に伝え続けられるよう、今こそ行動を起こす時です。温暖化という大きな課題に立ち向かい、彼らの存在を未来に引き継ぐために、私たち一人ひとりができることを考え、実行に移すことが大切です。

著者プロフィール

森勝彦(もり・かつひこ) 写真家

22歳でライチョウに魅せられて以後断続的にライチョウを撮影する。
発表媒体は写真集・TV・新聞・雑誌など幅広い。
写真展は過去20か所以上全国規模で開催。
書籍等では、奇跡の鳥ライチョウ(山と溪谷社)・ライチョウ愛情物語~ぼく、負けないよ~(パレード)日本の天然記念物ライチョウ(小学館)などで発表。

HP:ライチョウの小屋
https://www.raicyo-lodge.com/

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