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Vol.9 カンガルーの病気

2020.12.4

 さて今回はカンガルーの病気を取りあげたいと思います。カンガルーを飼育していると必ずと言っていいほどかかってしまう病気があります。
 それは「カンガルー病」と言われる顔(頬や顎)が腫れてしまう病気。

 

 

 原因はいくつもあって、自然界や動物たちのお腹の中、口の中などに普通にいる菌たちが「虫歯」「歯周病」の悪化させたり、永久歯の抜け替わり時、また食事中などに口の中を傷つけてしまったりしてそこから感染により化膿します。

 

 

 じつはとても怖い病気なのです。ときには顎の骨まで感染してしまうんですよ。

 

 

 当園でも上顎の化膿が悪化してしまい、膿がたまりすぎて皮膚が破裂し大きな穴があいたカンガルーがいました。もちろんそうなると、ほとんど餌が食べられなくなります。また本当にひどい時にはその菌が血液の中に入って全身にまわり、死亡してしまうことがあります。
 当園では20年も前から、予防策として、毎日獣舎内の砂を薬剤で消毒して、1頭ずつ顔のチェックをして「腫れはないか?」「歯ぎしりをしていないか?」はたまた「鼻水・よだれは出ていないか?」細かくチェックしています。また日々食べるエサにも気をつけています。歯ぐきや口の中に残りやすいペレット等を控え青草・乾草を食べやすくカットしたり、野菜類もスライスカットにして与えています。

 

 

 それでももちろん感染してしまうカンガルーたちもいます。獣医師の治療で抗生物質の注射をうって様子をみて回復を願います。ただ注射をうつにもなかなか大人のカンガルーを捕獲するはカンガルーも飼育員も負担が大きく大変です…。ですので今はトレーニングをして無理なく治療をおこなえるように日々カンガルーたちと共に頑張っています。

 

 

 それからは、他園にて「ワラビー」でドクダミを与え抗菌作用と毒消しを期待しての治療方法がありました。当園もドクダミをエサと一緒に与え、西洋医学と東洋医学の両方を信じ、日々「カンガルー病」と奮闘しています。

著者プロフィール

小林哲也 (こばやし・てつや)

1973年2月13日生まれ。長野県出身。
2004年から須坂市動物園にて勤務。
現在アカカンガルーや猛獣、霊長類を担当。

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