皆さんこんにちは。最近は日差しが暖かくなってきました。
須坂市動物園がある長野県は、まだ朝・夕は冷え込むため寒暖差が大きく、動物たちの体調に一段と気を配る時期です。
今回は、アカカンガルーの母乳について話していきたいと思います。
カンガルーの赤ちゃんは未熟な状態で誕生して、すぐに母親の袋(育児嚢)に入り、袋の中にある4つの乳首の一つに吸い付き、母乳を飲みます。
子どもが乳頭に吸い付くと、乳頭の先端が口の中でふくらみ、乳頭から離れないようになります。
◎当園で去年誕生した赤ちゃんカンガルーです◎

誕生して数日の袋の中の様子

誕生して約1か月の袋の中の様子
乳頭に吸い付いた子どもは生後約2か月で口が離れますが、その後も同じ乳頭を吸い続けます。

誕生して約2か月の袋の中の様子
未熟な状態から袋を出るころまで、赤ちゃんの成長に伴って母乳の成分は大きく変化するそうです。
当園で去年誕生した2頭のアカカンガルー「ライト(♂)」「さくら(♀)」も成長の段階に応じて成分のちがう母乳を飲み成長したと思うと、感慨深いですね。

右:さくら♀ 左:ライト♂
ちなみに、動物園で人工哺育をおこなう場合、
哺乳類の多くにはヒト用やイヌ・ネコ用の粉ミルクがよく使われます。この場合ミルクには「乳糖」が多く含まれます。
カンガルーなどの有袋類のミルクは「オリゴ糖」を多く含むので、実は乳糖に耐性を持っていません。そのため、人工哺育で有袋類に乳糖を多く含むミルクを与えるとすぐに下痢をしてしまいます。(乳糖不耐性下痢症)国内の人工哺育の例では、植物性の粉ミルクを使用することが多いです。
カンガルーやワラビーが生息するオーストラリアでは有袋類用の粉ミルクが市販されているようです。
日本ではなかなか見られないので、ぜひ見てみたいです。
(※人工哺育では赤ちゃんの成長に合わせていろんなミルクを混ぜ合わせることもあります。)

ライト♂

さくら♀