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Vol.13 ヒョウ柄のお洒落なリクガメ

2018.12.6

 アフリカ東部のサバンナに、ヒョウモンガメというリクガメが生息しています。彼らの棲むサバンナには、カメを襲う捕食者たちがたくさんいるので、いかに見つからないか、が生き残るために重要になります。見つからないためには周りの風景に溶け込む事がもっとも手軽ですので、ヒョウモンガメは草むらでじっとしていると見つからない模様になっています。

ヒョウモンガメはその名のとおりヒョウ柄をしています

 名前を見て分かるように、ヒョウモンガメはヒョウ柄です。皆さんお分かりの通りネコ科のヒョウがこのヒョウ柄をしているわけで、草原の草むらで見つからないのはこういった模様ということです。

 アフリカには以前紹介したケヅメリクガメという大きなリクガメも分布していますが、ヒョウモンガメはケヅメリクガメに次ぐ大型リクガメといわれています。最大甲長が70cmということで、かなり大型なはずですが、日本で飼育されているヒョウモンガメは40cmほどで成長が止まってしまいます。現地と日本では環境が違うせいかもしれませんが、分布域が広いので、個体群によって最大サイズが異なっているのかもしれません。ソマリアに棲む個体群は大型化するという話もあり、古くから日本で代われている個体群は大きくならないものなのかもしれません。

上からの圧力に耐えられるよう、ドーム型の甲羅をしています

 ドーム型の甲羅は、いかにもリクガメらしく、個体によっては球形にも見えます。球に近づくほど物理的な強度が高まるため、例えばキリンやシマウマに蹴られてしまってもつぶれにくくなっています。余談ですが、以前キリンやシマウマの放飼場に大きなケヅメリクガメを入れたとき、キリンは警戒心が強くてなかなか近寄らなかったのですが、シマウマは興味津々で匂いをかぎに来て、前脚でつついていました。

ヒョウモンガメの産卵 器用に後脚で穴を掘り、10個程の卵を産みます。

 メスのヒョウモンガメは夏になると一度に10個程度の卵を産みます。産んだ卵は30℃前後の孵卵器に入れておくと4ヶ月ほどで孵化します。ケヅメリクガメよりも孵化にかかる日数は長いようです。

ヒョウモンガメの孵化。卵床にはバーミキュライトなどを使用しています。

生まれたてのヒョウモンガメは、まだへそからヨークサックが出ています。

孵化後数日経つと、ヨークサックが吸収されて腹甲が閉まります。

大きくなるヒョウモンガメも、生まれた直後は手のひらに乗るサイズです。

 いしかわ動物園では2011年に初繁殖しましたが、ケヅメリクガメと比較すると子ガメが弱く、なかなかうまく育ちませんでした。その後子ガメの温度管理や初期飼料を改善することで、現在は孵化した子ガメはほぼ全て育成できるようになりました。親ガメもケヅメリクガメと比較すると神経質な面があり、こちらも温度管理にはやや気を遣っています。

いしかわ動物園で始めて繁殖したヒョウモンガメ。いまでは更にこの個体の子供も生まれています。

 リクガメの仲間には野菜や牧草を餌として与えていますが、ヒョウモンガメの場合、野菜を多くやると便が緩くなるという特徴があるようです。特に白菜などの水分の多いものを多給すると、あっという間に下痢をします。イネ科の牧草(乾草を含む)を主体とした餌を与えると、便状は良くなります。彼らの生息地に生えているのは、きっと繊維質の多い植物ばかりなのでしょう。

冬はどうしても室内で野菜を多く給餌することが多くなります。

気候の良い時期は、できるだけ屋外で給餌していますが、暑すぎてもいやなようで、真夏は室内にいることが多いです。

イベントなどでは親子並べてお客様に見ていただくことがあります。

 ヒョウモンガメは性格も穏やかで、いかにもリクガメ!という姿かたちをしているため、人気があります。しかし、野生の彼らの生息状況は決して安泰ではないようです。動物園などでヒョウモンガメをご覧になる際には、彼らの生息地にも思いを馳せていただければと思います。

つづく

著者プロフィール

野田英樹(のだ・ひでき)

静岡県出身
小学生の頃から熱帯魚や小鳥の繁殖に明け暮れる。
大学では爬虫類に興味を持ち、淡水性カメ類の研究をする。
2018年 金沢大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了 博士(理学)

2004年よりいしかわ動物園で鳥類の飼育を担当し、トキ受入れに備えた。
2010年からはトキとカメ類の飼育繁殖に取り組んでいる。

さらに最近はニホンライチョウにも携わっている。

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