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Vol.14 いよいよトキ公開か

2019.3.31

 トキの飼育下繁殖と、繁殖した個体を野生復帰させる環境省の事業は、順調に進んでいきました。2012年には野外で8羽のトキが巣立ち、その後毎年複数羽が巣立つことで、今では放鳥したトキよりも、野生で生まれたトキの数の方が多くなっています。
 そうなると、各分散飼育地からは「トキを公開したい」という声が上がってきます。学習コーナーなどは設けているものの、動物園の裏側でひっそりと生息域外保全をしているだけでは、一般のお客様にはなかなか伝わりません。少なからず税金を使ってトキの飼育繁殖をしている以上、世間に対してトキという鳥や、絶滅に至った経緯、人の暮らしとのかかわりなどについて普及啓発していかなければなりません。
 野外での繁殖が順調であり、飼育下繁殖は数より質にシフトしていたこともあり、2014年に環境省は石川県のトキ公開を承認し、施設整備が始まりました。

シマウマ舎と調整池の間の斜面につくることになりました。



どこで展示するか
 いしかわ動物園は一筆書きで園路を一周すれば全ての動物が見られるコンパクトな動物園です。新たな施設を作るときにはこの特性がネックとなってしまいます。すなわち、新たな展示場を作る場所が無く、工事をするためには園路を一部閉鎖しなければならないのです。たくさんの人たちと様々な検討をした結果、キリン・シマウマ展示場向かいの斜面に建設することになりました。



展示の工夫

 予算と規模が決まってくると、どのようにしてトキを面白く見せるか、ということが課題になりました。私たちがここでこだわったのは、やはり「採食行動を見せたい」ということでした。そのため、採餌池はあえて泥池とし、餌のドジョウを採りにくくすることで、トキが長時間エサを探す行動を見せられるように工夫することにしました。また、間近にトキを見られるように、人工止まり木の真後ろにのぞき窓を設けることになりました。



工事の開始
 設計が固まってくるといよいよ工事です。ケージ部分だけで500平方メートルを超える規模のものですから、工期も一年半ほどかかります。通常動物園で工事をするときは、繁忙期を避けた冬におこなうのですが、今回はゴールデンウィークや夏休みも園路を一部区切って工事が続きました。



シマウマ舎と調整池の間の斜面につくることになりました。



つづく

著者プロフィール

野田英樹(のだ・ひでき)

静岡県出身
小学生の頃から熱帯魚や小鳥の繁殖に明け暮れる。
大学では爬虫類に興味を持ち、淡水性カメ類の研究をする。
2018年 金沢大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了 博士(理学)

2004年よりいしかわ動物園で鳥類の飼育を担当し、トキ受入れに備えた。
2010年からはトキとカメ類の飼育繁殖に取り組んでいる。

さらに最近はニホンライチョウにも携わっている。

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