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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.13 春風吹いて

2019.4.13

みなさん、こんにちは。あちらこちらで桜の便りが届く季節となりました。
小諸市動物園の桜もつぼみが少しずつふくらんできています。
厳しい寒さが少しずつ影をひそめてきて、昼間には暖かな風が感じられる今日この頃、動物園には子供達の明るい声や動物たちのうれしい声、鳥たちのさえずりが響くようになりました。

今年は福寿草も早くから花を広げ、春の訪れを知らせてくれました。川上犬【さくら】も日中は、小屋にある毛布を自分でひっぱり出して、その上で気持ちよさそうにお昼寝をしています。

 そんな中、ペンギンに新しい命が誕生しました!!
フンボルトペンギンのヒナです。

年末くらいからせっせと巣材を運んでいたオスたち。そしてオスメス協力してすてきな巣をつくりました。小諸市動物園のペンギンは8羽。ちょうど4ペアです。ペンギンたちは、夫婦仲が良く、一度 ペアを組むとあまり相手を換えません。


今年ヒナが孵ったペアは、10年以上添い遂げている夫婦です。そのペアはうちの最高齢のペンギン【ボス】26歳と【しずか】20歳です。体格もよく、積極的なボスは、巣材に用意した葉や松葉を先頭きって取りに行き、せっせと巣へ運びました。葉のたくさんついた枝は人気があり、巣に持ち帰ったものでも、違うオスが、巣の持ち主がいない隙に奪って自分の巣に持って行ってしまいます。そして、それをまた元の持ち主がとりかえしにいくという、オス同士の静かな攻防が繰り広げられます。さあ、巣材でふかふかになった巣にメスは2個の卵を産みます。フンボルトペンギンの卵は40~42日で孵化します。今回、1個は残念ながら無精卵だとわかりました。


 3月9日予定日前日に卵の様子を見てみると嘴打ちがはじまっていました。嘴打ちは、ヒナが中からくちばしで卵の殻を割り始めることです。1㎝くらい穴が開いていました。ヒナの声も聞こえます。ヒナの誕生はあと1日くらいでしょう。


誕生前に私達は、用意することがありました。実は、そのペアは10年ぶりの子育てとなるのです。ヒナは元気に生まれてくるのか、また親は育児をきちんと行うのか、それによって人の手で育てる人工育雛に切り替えなければなりません。小諸市動物園では、今まで、人工育雛の経験がありません。経験のある他の動物園や水族館の飼育スタッフに連絡をとり、いろいろな情報を教えていただきました。
育てるのに適した温度湿度。
日齢をおっての体重、エサの内容、量。給餌の回数、タイミング。
温度湿度もヒナの成長により変えていきます。

あわただしい毎日の中、3月10日午後、孵化しました!!
夕方体重をはかると100gでした。平均的な大きさです。体重をはかるとすぐ、親にかえしました。親によっては、興奮してヒナに悪影響があることもあります。慎重に事をすすめます。


ボス・しずかペアは落ち着いた親でした。体重ははじめ、毎日はかりました。順調に育っていることが確認できたので、体重測定の日は間隔を置きました。


3月28日では、なんと825gと生まれた時の
8倍の重さとなりました。


4月11日では、なんとなんと1639g。
大きなペットボトルと同じくらいの重さ
です!! おなかも白くなってきました。
ヒナの声を聞くのが楽しみな毎日です。

これからも、子育てをしっかり見守って
いきたいと思っています。

著者プロフィール

中津 久美子(なかつ・くみこ)

千葉県出身 1965年生まれ。
若いころには千葉市動物公園に非常勤で勤務。
現在、川上犬、ペンギン、ミニブタ担当。
小諸市動物園を盛り上げるべくみんなで奮闘中。

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