日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.103 オーストラリアQLD州6 オオコウモリ観察場所や関連施設2

2026.4.16

ゴールドコーストのカスケードガーデンズCascade Gardens
 ゴールドコーストのカスケードガーデンズへはじめて行ったのは、2001年12月。水路沿いに広がる公園で、入口から少し歩くとハイガシラオオコウモリがたくさんぶら下がっているのが見えた。

枝からぶら下がるハイガシラオオコウモリ。びっしりくっついて寝るのではなく、ほんの少しずつ間隔を空けてぶら下がる

 コロニーは遊歩道のすぐ上にも延びているのだが、それほど獣臭くはない。Flying foxの解説看板があり、オオコウモリに好意的な書き方だった。真夏のゴールドコーストは暑く、オオコウモリは口を開けて翼でひっきりなしにパタパタ扇いでいる。親指をぺろぺろなめている個体が結構いるのは猫が顔を洗うようにして体を濡らして冷やしているのだろうか。お腹に子どもをくっつけた個体が結構いる。生まれて間もない小さな子、結構大きくて重そうな子、お母さんから離れている子もいる。コロニーにはオスもいる。
 夕方再びカスケードガーデンズへいくと18時25分頃から三々五々、オオコウモリが飛び始める。30分くらいの間に徐々にその数が増えていき、空いっぱいに飛ぶ見事な光景となった。19時過ぎてもまだまだ飛んでいるが、そろそろ空が暗く見にくくなってきた。19時20分頃ほぼ飛び立ちは終了。公園の中で採餌するものもいるので、多少上空を飛び回る個体もいる。
 翌朝もう一度カスケードガーデンズへ。昨日ハイガシラオオコウモリを見たあたりから更に奥にはいると、クロオオコウモリがかたまっている。

クロオオコウモリ

 どちらも赤ちゃんを抱いた個体が見られる。両者がいっしょにいるところでは、ハイガシラがクロを威嚇していたり、逆にクロがハイガシラを脅かしていたりする。今回は見られなかったが季節によりオーストラリアオオコウモリが入ることもあるようだ。
 近くに青い顔をしたその名もアオツラミツスイEntomyzon cyanotisがくると、オオコウモリは威嚇するように翼を広げる。ミツスイは逃げていってしまった。
 何かをたたくような大きな音がしてオオコウモリが一斉に上空へ飛び立つ。しばらくは大騒ぎとなり、10分ほどして落ち着いた。そんなことが何回か繰り返されたあと、音が直ぐ後ろでしたので振り返ると、どうやら公園のスタッフが椰子の花を落としているようだ。雌花を落として実が付かないようにするためだろうか。

飛翔するハイガシラオオコウモリ

 その後2006年7月にゴールドコーストに滞在したときにもカスケードガーデンズを何度か訪れた。2004年に公園に隣接するゴールドコースト会議場と展示場がオープンし、工事による攪乱はあったけれど、幸いにしてコロニーは健在だった。地元のコウモリ保護団体Bat Rescue Inc.はボランティアを募ってコロニーに植林したりして、コロニーの環境向上に努めている。

ブリスベンのバッティボートクルーズ
 クイーンズランド州の州都ブリスベンを流れるブリスベン川の中州インドールピーリー島Indooroopilly Islandにはかつてクロオオコウモリの大きなコロニーがあった。
2006年11月5日にWildlife Preservation Society of Queenslandが主催するバッティボートクルーズに参加した。このインドールピーリー島のオオコウモリをブリスベン川の船から見る催しだ。ブリスベンの街中のモーブレイ公園を17時過ぎに出航したネプチューンという船には60人ちょっとの参加者が乗っていてほぼ満員だ。

乗船する参加者

 参加者の大部分は、特にコウモリファンというわけでもなさそうだった。このクルーズは年に何回も行われているが、常に十分な参加者がいるというのが驚きだ。Bat Rescue Inc.の会員が何人か乗船していて、保護されたオオコウモリの子供を見せながら、会の活動を紹介したり、コウモリに関する質問に答えたりしていた。コウモリグッズも販売している。

船から眺めるブリスベンの街(上)。夕暮れの川岸の様子。どの家にも、ボート用の桟橋があった(下)

p<> 夕暮れ時のブリスベンの町をクルーズしながら、船内放送ではネーチャーライターのティム・ロウさんが、ブリスベン川の地形や、川岸のマングローブ、周囲に少し残った熱帯雨林やユーカリの林、開拓以前のブリスベンの姿やアボリジニの人々と生き物の関わりなどについて解説する。
 1時間半ほどで、オオコウモリのコロニーのあるインドールピーリー島の近くに着いた。ちょうど夕方ねぐらから飛び立つ時間で、クロオオコウモリがコロニーの上を飛び交っている。5分ほどすると川の上に広がって上流や下流へ飛んでいく。町の中に飛んで行って、裏庭や公園の木の実や花蜜を求めていくものが多いようだ。季節によってはハイガシラオオコウモリやオーストラリアオオコウモリがいっしょにいることもあるようだが、今回はクロオオコウモリのみ。

飛び立ちを眺める参加者

 20分足らずで空いっぱいのオオコウモリもほとんど姿を消し、船は帰路をたどった。
 このバッティボートクルーズは今でも行われているが、インドールピーリー島のコロニーは減ってしまったので、現在はもう少し下流の街中に近い、ブリスベン川がその支流ノーマンクリークと分岐するあたりで観察しているようだ。 https://wildlife.org.au/get-involved/events/batty-boat/

ブリスベンでは野生のコアラ探しもした

ハービーベイのオオコウモリ
世界遺産の砂の島、フレーザー島の対岸にあるハービーベイの町にもオオコウモリのコロニーがある。フレーザー島に行こうと2006年10月21日にこの町のキャラバンパークに到着して、18時半頃にシャワーを浴びようとキャラバン(牽引型のキャンピングカー)の外に出たら、西の方からクロオオコウモリが次々とやってくるのが見えた。
ハービーベイのタウンガイドを見ると、ちゃんとこのコロニーの場所が書いてあった。海岸沿いの町ピアルバPialbaのトゥーアン・トゥーアン・クリークTooan Tooan Creekというところだ。公園になっていて、クロオオコウモリの他にオーストラリアオオコウモリもたくさんいた。

クロオオコウモリの親子


オーストラリアオオコウモリ

 18時過ぎにいくと、コロニーから低く飛び立つ様子が見られて、壮観だ。

夕暮れのオオコウモリの飛びたち

 このトゥーアン・トゥーアン・クリークには、コウモリ観察所がある。ただの休憩所なのだが、床にはコウモリのモチーフがあり、ベンチはコウモリのコロニーの方を向いている。目の前の林はフェンスで囲まれていて、苗木が植樹されているのは、コウモリ保護区となっているのだろう。幸いこの町ではオオコウモリは愛されているようだ。

解説板とオオコウモリのコロニー

 オーストラリアには何万というオオコウモリが生息していて日本とはくらべものにならない数が見られるが、人との摩擦も多い。かつてバットホスピタルを訪れたときにオーナーのジェニーさんに、近くのマレーバという町のコロニーを帰りがけに見ていくと言ったら、この町でも排除の声が大きいので、町の観光課に行って「日本から、オオコウモリを見に来たんだけど、どこでしょう」と聞いてくれると、彼らもオオコウモリが観光資源になるかもしれないと気がつくかもしれない、と言われた。結局マレーバでは観光課に寄る時間はなかったが、われわれのオオコウモリ巡りは何らかの役に立ってきただろうか。

著者プロフィール

大沢啓子(おおさわ・けいこ)・大沢夕志(おおさわ・ゆうし)

1988年に南大東島でオオコウモリに出会って以来、コウモリに惹きつけられ、世界を巡って観察している。講演会や観察会、企画展示、書籍など、コウモリの魅力をたくさんの人に伝える活動をしている。動物園にやってくる野生のコウモリの観察会をすることもある。コウモリの会評議員、日本自然科学写真協会理事(夕志)。主な著書『身近で観察するコウモリの世界』『コウモリの謎』(誠文堂新光社)、『オオコウモリの飛ぶ島』『ふたりのロタ島動物記』(山と渓谷社)、『南大東島自然ガイドブック』(ボーダーインク)など。

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。