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Vol.64 スリランカ2 キャンディのオオコウモリ

2023.1.16

2012年1月のスリランカコウモリ旅の続き。キャンディの街に滞在し、植物園などにいるインドオオコウモリを観察している。

 夜18時すぎから宿のテラスで空を見ていると、オオコウモリが次々に飛んで行く。植物園よりもっと近いところにもコロニーがありそうだ。すぐそばに降りるものもいるが、テラスからは見えない。小コウモリも飛んでいた。19時頃テラスの前のマンゴーの木にどさっという音がしたので何だろうと思ったら、インドムササビPetaurista philippensisだった。長い尾が目立つ。マンゴーの実を抱えて食べているようだ。日本のムササビは木の葉や芽を食べるというイメージがあるのだが、インドムササビは果実が中心で、オオコウモリのライバルだ。翌朝、木の下を見ると齧りかけのマンゴーの実が落ちていた。ペリットも落ちていたので、オオコウモリも来たのだろう。

インドムササビ。尻尾は長い(右)

 滞在2日目、1月9日の朝食はストリングホッパーというヌードルに豆のカレー。ストリングホッパーは米粉を水で練って、手動式パスタマシーンみたいな道具でにょろにょろと絞り出して、小さいざるに乗せて蒸す。台所も見せてもらった。

ストリングホッパーの朝食

ストリングホッパーを絞り出しているところ(左上)、蒸しているところ(右上)、台所の様子(下)

 今日もトクトクで植物園へ。まっすぐインドオオコウモリのねぐらまで行く。暑くなってくると、翼をパタパタさせているコウモリが多いのだが、まだ朝早いので、翼で扇いでいる個体は少ない。

木の枝にたくさんぶら下がって休んでいる

 あちこちの国で、オオコウモリを見に行くと、「飛ぶところを見たいか」と言われて、「No!」と言っているのに手をたたいてオオコウモリを飛ばしてしまう人がいて困るのだが、ここではその進化形、手をたたいてオオコウモリを飛ばし観光客からチップをもらっている男性がいた。われわれも一度聞かれたが、「必要ない」というと、あとは話しかけてこなくなった。この男性が手をたたくと大きな音がしてたくさんのオオコウモリが飛びたち、かなりの人からチップをもらっているのが遠くにいてもわかる。

たくさん飛んでいるところ

 今日も植物園前からキャンディの中心までバスで出たが、昨日と違うバスに乗ったら15ルピーだった。バスのコースも昨日とは違い、キャンディの駅前を通って町の時計台下のバスターミナルに着いた。 キャンディの町中にはカラスが目立つ。イエガラスCorvus splendensとハシブトガラスCorvus macrorhynchosがいる。イエガラスはJohn Harrisonの『A Field Guide to the Birds of Sri Lanka 2nd edition』(2011)には沿岸部に分布していて、内陸に進出中と書いてあるが、内陸のキャンディにもたくさんいた。ハシブトガラスより小柄だが、群れをなしてゴミを漁り、ハシブトガラスより逞しく生きている。

イエガラス

 食事後、宿に帰るために、シンハラ語で書いてもらったドワンダワという行き先を書いた紙を持ってバスターミナルをうろうろしていたら、後ろにいた女性に肩をたたかれ、「ドワンダワ」と言って停車している赤いバスを指さされた。礼を言って乗ったのだが、目的のバスではなかった。乗るときにホテル・トロピカーナと車掌に言ったのだが、車掌も何も言わなかった。ホテルは坂の斜面をかなり登ったところにあるが、このバスは坂の下の道を通るだけなので、ホテルへと登る道の入口で下ろしてもらった。「ホテル・トロピカーナまで3km」の看板があった。
 歩き始めてしばらくして、バッグの外ポケットに入っていたはずのGPSがなくなっているのに気がついた。落としたのだろうか、先ほどの間違ったバスを教えてくれた女性が、かなり身体を寄せてきたので盗まれたのだろうか。幸いにして日本に帰ってから、旅行保険でかわりのGPSを購入することができたが、旅行中の行程の記録は失ってしまった。これ以来GPSはバッグに紐でつないでおくことにしている。
 3kmとはいっても傾斜のある上りなので、かなり距離があるように感じたし、最後の500mの上り坂がけっこう大変だったが、途中で川の畔にインドオオコウモリの大きなコロニーを見つけたり、感電死したオオコウモリが5頭も電線からぶら下がっているのを見かけたりした。被覆していない電線の場合、オオコウモリは大きいので翼を広げた時に隣の電線に触れてしまったり、隣の電線に止まっている奴と喧嘩をして翼が接触すると、感電してしまうのだ。

感電死したオオコウモリ

 

 今日も18時半頃になると、ホテルのテラスからオオコウモリが飛ぶのが見えた。22時頃にはホテルの目の前のマンゴーにオオコウモリが来て、しばらく静かにとまっていた。

 3日目の朝食は赤米の玄米を蒸したものに、豆カレーなど。今日は他にもお客さんがたくさんいるようだ。男性5人のグループは素手でカレーを食べている。

玄米と豆カレーの朝食

 本日も植物園へ。コロニーの下で撮影していると、オオコウモリのフンが落ちてくる。通常オオコウモリは水分の多い果実のジュース分が主食なので、フンは液状になることが多いのだが、ここのはかなりポロポロの黄色い小さな粒状になっているものもある。いったい何を食べたのだろう。

こちらをのぞき込むオオコウモリ

2頭飛んでいるところと、三脚の雲台のハンドルに落ちたフン

 12時過ぎにまたバスでキャンディの町へ。今日のバス代は13ルピー、毎日値段が微妙に違う。バスターミナルは終点であり始発でもあるわけだが、通常バスが止まって中の人が降りてから乗るものだと思っていたが、ここではまだバスが動いている間に次々とみんな乗ったり降りたりする。バスターミナルが狭くてバスを止める隙間を見つけて停車するまでに時間がかかるので、この方が合理的なのかもしれない。
 今日の昼食は、町中のイートインのパン屋さん。パン4つと紅茶のポットサービスで二人分200ルピー。
 空港で1万5千円分(約22000ルピー)を両替したのだが、両替所やATMで換金すると1000ルピー札をくれることが多い。ところが町中で1000ルピー札は高額紙幣なので、使うのに苦労する。トクトクというオート三輪車で町中を移動すると150-400ルピーほどだが、ぴったり渡さないと「おつりがない」といっておつりをくれないことが多い。小銭をじゃらじゃらと漁っていたら、コインでもらうと重いだけでやっかいだと思ったらしく、突如「ある」といっておつりの50ルピー札を出してくれた。

通貨

 使いやすいのは10,20,50,100ルピー札。こちらの人は財布をあまり使わないので、かなり変色してぼろぼろだ。写真の4種類のコインのうち右上の小さな銅色と左上の銀色が、色も大きさも違うが1ルピー硬貨。文字で「ONE RUPEE」と刻印されているが、ものすごくわかりづらい。右下の銅色の硬貨は5ルピー、左下の銀の11角形のは10ルピー。この2つは数字が大きく刻印されていてわかりやすい。このほかにやたら大きくて重い2ルピー硬貨もある。
 おつりの代わりにおやつをくれることもある。Chit Chatというのはウェハースをチョコレートでくるんだキットカットもどきで5ルピーの代わり、チョコレートは10ルピーの代わり。おつりがないといって何もくれないよりはまし・・・なのだろう。

著者プロフィール

大沢啓子(おおさわ・けいこ)・大沢夕志(おおさわ・ゆうし)

1988年に南大東島でオオコウモリに出会って以来、コウモリに惹きつけられ、世界を巡って観察している。講演会や観察会、企画展示、書籍など、コウモリの魅力をたくさんの人に伝える活動をしている。動物園にやってくる野生のコウモリの観察会をすることもある。コウモリの会評議員、日本自然科学写真協会理事(夕志)。主な著書『身近で観察するコウモリの世界』『コウモリの謎』(誠文堂新光社)、『オオコウモリの飛ぶ島』『ふたりのロタ島動物記』(山と渓谷社)、『南大東島自然ガイドブック』(ボーダーインク)など。

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