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Vol.2 金魚の正しい鑑賞法

2012.11.29

皆さん、金魚の飼育容器と聞いて思い浮かべるのは、ガラス水槽でないでしょうか。ほとんどの方が、金魚を飼う時にはガラス水槽を購入されると思います。

ランチュウの上見と横見 (あなたは、どちらに魅力を感じますか?)

金魚の誕生から数百年前までは、ガラスの水槽ではなく、田んぼや野池のような大きな飼育池で放養されていました。その後、小さな舟での飼育が始まり、鉢などのさらに小型の容器での飼育を経てガラス水槽が登場します。今の金魚の礎となった品種の基本型は、ガラス水槽が登場する以前に作り上げられました。そのため、金魚は上から見る「上見」が正式な鑑賞法です。前回、ランチュウの品評会が全国的に行われていることを紹介しましたが、これらの展示は全て上見で行われます。ごく少数ではありますが、イギリスが発祥のブリストル朱文金では横見の品評会が行われています。

ブリストル朱文金の上見と横見 (横見の金魚)

上見で改良された金魚の、最大の変革は尾ビレです。魚の尾ビレは一枚が基本で、上見では一本の線にしか見えません。それはごく当然なことで、強力な推進力を得るにはこの形が一番です。金魚の尾ビレは下側から左右2枚に分かれていき、上側がくっついた状態で広がりました。これは非常に稀有な変化です。ペットショップに行けば、世界中の珍しい魚が手に入りますが、尾ビレがここまで変化している鑑賞魚は金魚以外にはありません。日本が誇るガーデンフィッシュ「錦鯉」や、爆発的に品種改良が進んでいる「メダカ」でも尾ビレは手付かずのままです。

トサキン

尾ビレがもっとも優雅なのは高知の天然記念物のトサキンで、左右の尾の先が反転して口先にまで達します。もっとも変化が進んでいるのは、尾ビレが完全に2枚に別れたジキンです。孔雀尾と呼ばれ背骨に対して尾ビレが直角に広がり、上見でアルファベットのTに見える状態になります。金魚は魚として生きていく上でもっとも大切な移動手段としての尾ビレの機能の一部を、優雅さと気品という鑑賞の資質に振り替えたのです

著者プロフィール

津村英志 (つむら・えいじ)

津村英志虹の森公園おさかな館館長 1967年生まれ 愛媛県出身 小学校6年の時に金魚飼育を始める。
金魚の天敵である猫は大嫌いだったはずだが、ひょんなことから子猫を飼い始めたところ、案外嫌いでない自分に気づく。 
愛媛大学大学院理学研究科生物学専攻修了。
平成8年よりおさかな館会館準備にあたる。平成12年より現職。
日本らんちゅう協会会員愛媛吟らん会 副会長 事務局
愛媛南予らんちゅう会 事務局

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