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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.8 選別

2013.5.29

前回、億単位でランチュウの稚魚が誕生しているとしましたが、孵化から2ケ月以上たったこの時期には、数万匹まで減っています。これは、金魚にとって避けては通れない選別という作業によるものです。金魚には品種によってさまざまな基準があります。ランチュウは背ビレがないとか、トサキンは三ツ尾だというもので、選別で品種の基準を満たすものだけを残していきます。ランチュウの親から生まれた稚魚が、全てランチュウとしての基準を満たしているかというと、そうではありません。驚かれるかもしれませんが、生まれてくる稚魚の多くが品種の基準を外れています。基準外の魚を除いていくことで、品種として形質を有する優良な魚が残っていくのです。

1回目の選別で除かれた稚魚

選別は、稚魚の成長に合わせて数回行います。1回目の選別は、まだメダカの域を出ない孵化後10日から14日に行います。小さな稚魚を掬い上げ、体がピンと伸び尾がしっかり開いている稚魚を残します。逆に体の曲がったものや成長不良、尾開きの悪いものは外します。親の掛け合わせで成績はずいぶん異なり、外れ腹のときは1回目の選別で1%も残りません。当たり腹のときは、ほとんど外すものがいません。コンスタントに当たり腹の出る親は、優秀な種親として重宝されます。

当たり腹だと嬉しい反面、飼育密度が高くなる問題に直面します。稚魚が多いとそれに伴いエサの量や排泄物が多くなり、飼育水の痛みが早くなります。そうすると稚魚の成長は鈍り、病気が発生し易くなります。稚魚は体力がないので、油断していると全滅の憂き目に会うこともあります。適正な飼育密度を維持するため厳しい選別をしたり、飼育池を複数に分けたりします。逆に、外れ腹のときは、ゆるい選別で適度な飼育数を維持します。

1回目の選別で除かれた稚魚を更に1ヵ月飼育した状態。

選別は、金魚の品種としての形質を整えることの他に、稚魚を健康的に生育させるためのテクニックとしても行われています。

著者プロフィール

津村英志 (つむら・えいじ)

津村英志虹の森公園おさかな館館長 1967年生まれ 愛媛県出身 小学校6年の時に金魚飼育を始める。
金魚の天敵である猫は大嫌いだったはずだが、ひょんなことから子猫を飼い始めたところ、案外嫌いでない自分に気づく。 
愛媛大学大学院理学研究科生物学専攻修了。
平成8年よりおさかな館会館準備にあたる。平成12年より現職。
日本らんちゅう協会会員愛媛吟らん会 副会長 事務局
愛媛南予らんちゅう会 事務局

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