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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.7 稚魚その後

2013.5.6

孵化から一ヶ月経った稚魚は、尾びれも金魚らしく開き、体もしっかりしてきました。一回に産む卵の数は、親の大きさによって変わりますが、数千から数万粒に及びます。こう書くと全てが孵化するように感じるかも知れませんが、実際はそれほどうまく行きません。今回の1番仔は30匹ほどしか孵化しませんでした。その後も2番仔、3番仔とうまくいかず、4番仔でようやく数千の稚魚が誕生しました。

孵化後一ヶ月の稚魚

受精がうまくいかない要因は、オスにもメスにもあります。オスの発情は遅れがちで、産卵期前半では精子が出なかったり、オスに時期を合わせたために卵が過熟になり受精しなかったりします。

孵化直後の稚魚

卵自体が悪い場合もあります。卵は透明で粘着性があるのが普通ですが、真っ赤に色づいたものや、白濁してくっつかない卵には希望はありません。また受精していても、卵の密度が高かったり、重なったりすると、死卵から発生した水カビに侵されて死んでしまいます。

水カビに犯された卵

ランチュウの愛好家は、ほとんどの方が自分で仔引きをします。それも10腹以上は普通ですから、各愛好家の池には十万匹以上の稚魚が生まれます。日本全体で数千人の愛好家がいると思われますから、年に億単位の稚魚が生まれていると推測できます。愛好家は秋の品評会の入賞を目指して日々飼育するのですから、そのエネルギーはすごいものがあります。その結果、形質のずば抜けた魚が出ると、その魚の仔や兄弟があっという間に全国の愛好家の間に広がり、全国津々浦々でスタンダードになっていきます。それが毎年のように平然と行われ、積み重ねられているのです。

卵を孵化させている様子

著者プロフィール

津村英志 (つむら・えいじ)

津村英志虹の森公園おさかな館館長 1967年生まれ 愛媛県出身 小学校6年の時に金魚飼育を始める。
金魚の天敵である猫は大嫌いだったはずだが、ひょんなことから子猫を飼い始めたところ、案外嫌いでない自分に気づく。 
愛媛大学大学院理学研究科生物学専攻修了。
平成8年よりおさかな館会館準備にあたる。平成12年より現職。
日本らんちゅう協会会員愛媛吟らん会 副会長 事務局
愛媛南予らんちゅう会 事務局

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