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Vol.12 肉瑠を考える

2013.10.4

 前回、肉瘤の完成形は獅子頭だとしました。肉瘤はコラーゲンというタンパク質の塊で、それが集積する部位が目先だと龍頭、頭頂部だとトキン、エラ蓋だとオカメ、バランスよく集積されると獅子頭と呼ばれる形態になるのではないでしょうか?

 近年の関東系の改良は、龍頭に傾倒していて、中には体の幅より外側へはみ出すほど発達するものもいます。このような龍頭が獅子頭にならないのは、魚が作り出せるタンパク量には限度があり、目先に過度に集中するため、頭頂部を発達させるには量的に足りないのではないでしょうか。

どちらが背幅の広いと思いますか?
上二段が当歳魚 下二段が親魚 

 もう1つの要因が、背幅にあると思います。品評会用の魚は尾の張りを重視するので、選別では尾の良いものを中心に残していきます。昔から、頭(かしら)が良ければ尾が駄目になり、尾が良ければ頭が駄目になるといわれ、頭と尾の作りは相反するものとされていました。尾を重視する品評会向きの魚は、頭が弱く背幅が細い傾向があります。背幅と頭頂部の肉瘤の幅はほぼ同じですから、頭頂部の肉瘤の面積はどうしても小さくなり、頭頂部のバランスの良い獅子頭にならないのです。

 ということは、座布団をのっけたようなと肉瘤と表現されるトキンの魚は、背幅のある太い魚にしか出ないと言えます。かつては肉瘤を改良するにはトキンを親にすれば良いといわれた所以は、こういうところにあるのでしょう。龍頭の改良が進むにつれて廃れてしまったトキン、失った形質はランチュウにとってとても大きいと思うのです。

著者プロフィール

津村英志 (つむら・えいじ)

津村英志虹の森公園おさかな館館長 1967年生まれ 愛媛県出身 小学校6年の時に金魚飼育を始める。
金魚の天敵である猫は大嫌いだったはずだが、ひょんなことから子猫を飼い始めたところ、案外嫌いでない自分に気づく。 
愛媛大学大学院理学研究科生物学専攻修了。
平成8年よりおさかな館会館準備にあたる。平成12年より現職。
日本らんちゅう協会会員愛媛吟らん会 副会長 事務局
愛媛南予らんちゅう会 事務局

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