日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.6 産卵の季節

2013.4.1

産卵の季節がやって来ました。一年のうち愛好家が、もっともヤキモキする季節です。冬の間、あの魚とこの魚を掛け合わせて、こんな魚を目指そう!と夢を膨らませてきた一年がいよいよスタートします。

暖かくなるにつれて冬眠から覚めた金魚たちがゆっくりと泳ぎ始めたら、“床直し”を行います。床直しとは冬の間にたたき池に溜まっていたドブを洗い流すことです。別にとっておいた飼育水の上澄みを戻し、新しい水を加えます。このとき、日中の温度が上がりやすくするため、水深を10cm程度浅くします。古い青水をには、水の冷え方が緩慢にする効果があります。新しい水と混ぜて使うことで、春先の急な冷え込みから金魚を守ることができます。

水温の上昇と共に、メスのお腹は柔らかくふっくらしてきます。多くの愛好家は、秋頃から産卵に備え雌雄を分けていますが、オスの追尾行動がはじまると一緒にします。経験上、産卵間近と踏んでペアリングすると、翌々日に産卵することが多いです。しかし生き物のことですから、予定日より遅れたり、全く産まないこともあり、毎朝一喜一憂することになります。

産卵が始まると、受精率が良く親魚を痛めにくい人工授精に切り替えます。やり方はいろいろありますが、メスのお腹をやさしく押さえ卵を絞り、その後精子をかけます。この作業を一分以内に終わらせないと、受精能力が失われます。ナイロン製の人口魚巣を使う方法が一般的ですが、私は洗面器に産ませます。この方法だと、少量の精子でも受精率が高く、その後の卵の観察や水換えが容易です。ただ、卵をつけすぎると水カビで全滅しやすくなるなど、失敗することも多いので、テクニックが必要です。

我が家でも産卵が始まりました。今年も一喜一憂の日々が始まります。

洗面器で採卵したランチュウの卵

著者プロフィール

津村英志 (つむら・えいじ)

津村英志虹の森公園おさかな館館長 1967年生まれ 愛媛県出身 小学校6年の時に金魚飼育を始める。
金魚の天敵である猫は大嫌いだったはずだが、ひょんなことから子猫を飼い始めたところ、案外嫌いでない自分に気づく。 
愛媛大学大学院理学研究科生物学専攻修了。
平成8年よりおさかな館会館準備にあたる。平成12年より現職。
日本らんちゅう協会会員愛媛吟らん会 副会長 事務局
愛媛南予らんちゅう会 事務局

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。