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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.11 肉瑠って

2013.8.30

“こぶこぶ”とよく表現される肉瘤は、ランチュウやオランダシシガシラなどの品種の代表的な特徴です。この肉瘤は脂肪の塊だと言われていましたが、現在ではコラーゲンからできていることがわかっています。

肉瘤は、その形で獅子頭、龍頭、トキン頭、おかめの4形態に区別されます。獅子頭は、獅子舞の頭部に似ていることから名づけられました。龍頭は、目から口に至る左右の肉瘤が特に発達していて龍の頭のように見えます。トキン頭は、頭頂部の肉瘤が座布団のように発達する肉瘤で、修験者が頭部につけた兜巾に似ていることからきています。エラ蓋周辺が発達するおかめは、今ではほとんど見ることができません。完成したトキン頭のランチュウは、肉瘤の良い金魚を作るうえでは欠かすことのできない種親の資質を持っていると言われています。しかし残念ながら、ランチュウではその形質はほぼ失われています。

 

 

 ランチュウに限らず、肉瘤の完成形は獅子頭ですが、現在の主流は龍頭です。獅子頭は親魚で完成するため、当歳魚で品評会を勝負する昨今では、完成が早くて見た面も派手な龍頭が好まれるのです。

肉瘤の発現は、親の形質に大きく左右されます。龍頭が良く出ている親からは、龍頭が良く発達する子が多く出現します。また、関東ランチュウは、当歳魚のときに肉瘤が発達しないと、年を経ても発達しない傾向があるのに対し、京都式らんちゅうでは年を経るごとに肉瘤が立派になります。

 魚はより良く泳ぐために流線型の体をしています。肉瘤は水の抵抗を大きくするだけでなく、肥大することで視野や視力を奪うことさえあります。鑑賞という目的以外に、金魚にとってどんなメリットがあるのでしょう。そのような形質がなぜ発達したのか、謎は深まります。

著者プロフィール

津村英志 (つむら・えいじ)

津村英志虹の森公園おさかな館館長 1967年生まれ 愛媛県出身 小学校6年の時に金魚飼育を始める。
金魚の天敵である猫は大嫌いだったはずだが、ひょんなことから子猫を飼い始めたところ、案外嫌いでない自分に気づく。 
愛媛大学大学院理学研究科生物学専攻修了。
平成8年よりおさかな館会館準備にあたる。平成12年より現職。
日本らんちゅう協会会員愛媛吟らん会 副会長 事務局
愛媛南予らんちゅう会 事務局

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