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Vol.9 金魚の「色」

2013.7.5

金魚は生まれつき赤い色をしているのではありません。先祖のフナと同じ色だった稚魚は、ちょうど今の時期に真っ黒になります。この時期の稚魚は黒仔と呼ばれ、太く見える上に尾先も柔らかく活発に動くので、相対的に良い魚に見えます。ハッとさせられる魚や、将来有望に見える魚が数多くいて、黒仔大関と呼ばれます。その後、黒がまだらに抜ける虎はげ状態を経て、金魚らしい色になります。この変化を、退色といいます。退色は稚魚にとって負担が大きく、痩せて体が細く見えたり、尾先に傷ができたりします。将来有望だった黒仔大関は、影も形もなくなってしまいます。

オオサカランチュウ

金魚の色は、基本的に赤と白で、一部の品種を除いて配色にはこだわりません。島根のナンキンや名古屋のジキンは、配色も品種としての形質や評価の対象になっていて、人工的に調色し色を整えます。一般的に白一色の金魚は価値が低いとされていますが、ナンキンでは良しとされています。金魚の中で唯一配色のみにこだわって作られていたのが、オオサカランチュウです。そのこだわりは、人工的な配色を一切認めないという、徹底したものでした。口、眼、鼻、頬の赤いものを「頭道具揃い」、六枚のヒレと尾が赤いものを「本六輪尾紅」といい、両方が揃った魚を「本國錦」といいます。オオサカランチュウには、本國錦のように名前がつけられた模様が 24種類もつけられています。

面かぶりランチュウ 頭部とすべてのヒレと尾が赤い

調色なしでこの模様をもった魚を出現させることは非常に難しく、作り上げたときの報酬は家一軒が買えるほどのものだったそうです。そのためオオサカランチュウは模様にのみ重きを置き、姿を軽んじたため戦後に絶えてしまいました。現在のオオサカランチュウは、大阪でわずかに生き残ったオス 2匹にハナフサをかけて復元したものです。

オオサカランチュウの班名一覧

3年前に、我が家の池で本六輪尾紅のらんちゅうが大量に出現しました。残念ながら頭道具揃いにはならず、本國錦とはならなかったのですが、頭部が赤いきれいな面かぶりになりました。

著者プロフィール

津村英志 (つむら・えいじ)

津村英志虹の森公園おさかな館館長 1967年生まれ 愛媛県出身 小学校6年の時に金魚飼育を始める。
金魚の天敵である猫は大嫌いだったはずだが、ひょんなことから子猫を飼い始めたところ、案外嫌いでない自分に気づく。 
愛媛大学大学院理学研究科生物学専攻修了。
平成8年よりおさかな館会館準備にあたる。平成12年より現職。
日本らんちゅう協会会員愛媛吟らん会 副会長 事務局
愛媛南予らんちゅう会 事務局

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